原家の夏座敷で和の空間を味わう
原家の内部は1階のみ見学できる。玄関から入ると、「アガリマ」に衝立があり、天井にはシャンデリアが吊られている。双方とも、部屋とともに刻まれた歴史が風格を感じさせる。
全部で6つの部屋が縦横に並び、その部屋を囲むように廊下がある。この廊下の、少しゆがみのあるガラス戸も一見の価値あり。当時の材料、波打つ板ガラス貴重。
5月末に各部屋の障子が“簀戸(すど)”に模様替えされた。夏座敷である。
“簀戸”は「夏障子」とも言われ、簾(すだれ)を嵌め込んだ建具の総称とのこと。
スタッフに案内されてついていくと、「アガリマ」の簀戸の重なり具合を指さしている。簀戸は重なった部分に美しい影ができ、何とも言えない陰影が刻まれる。
この日のように暑くて強い日差しの日は、少し暗い室内と炎天下の外の明るさとの対比が、より一層簀戸の美しさを浮き上がらせる。
もうひとつ注目してほしいところは、部屋によってそれぞれ天井の高さが微妙に違うこと。天井の高さを変えることで部屋の空間を演出し、部屋に“格差”を与えているのだ。天井が高いほど、格が高い部屋とのこと。
夏座敷で“古民家カフェ”
旧原家では4月28日から7月2日までの期間、古民家カフェ「陣屋荘」が営業される。「陣屋荘」という名の由来は、戦後の一時期、原家が「陣屋荘」という名の料亭を経営していたからとのこと。
古民家カフェ「陣屋荘」スケジュール
http://www.nihonminkaen.jp/archives/5060/
期間中の営業時間は、11:00~16:30(ラストオーダー16:00)。
園内を歩き回った疲れを、原家の夏座敷で癒されてみてはいかがだろうか。
今年開園50周年を迎える日本民家園へのアクセスはこちらから。
美しい簀戸の陰影
部屋ごとに高さの違う天井
大きな神棚は富の象徴?
民家園には何度か行ったことがありますが、原家だけを時間をかけてみて回ったことはありませんでした。
完成までに22年間もかけて建てられたことを考えると、まだまだ見るべきところはたくさんあるようです。
それにしても、22年間、毎日のように大工さんほか、建築にかかわる人たちが出入りする生活というのは現代の人には想像もできないのではないでしょうか。