2017年「生田緑地ホタルの国」が6月10日(土)から6月25日(日)までの日程で開国した。初日の午後6時からビジターセンター2階で開催されたホタル観察会に参加し、同日午後7時過ぎに谷戸へ下りてホタルの国を旅してきた。
ホタル観察会
特定非営利活動法人かわさき自然調査団の岩田臣生氏が、「生田緑地の谷戸の自然とホタル」と題して、生田緑地ホタルの国の歴史、ゲンジボタルの生態、そして生田緑地の水辺にすむ生物について講演した。実際のホタル観察は各自で行う。その前に予備知識と守るべきルールを身につけてもらうことがねらいのようであった。岩田氏の説明によると、生田緑地のホタルはゲンジボタルで、国内に3種類しかいない貴重な水生ホタルの一つなのだそうだ。ホタルの国では人間に対する禁止事項をいくつか決めているが、とりわけスマホ、携帯電話、懐中電灯、光る靴など光を出すモノの持ち込みは厳禁である。ホタルが強い光を浴びると自身の光を出すことができなくなり、繁殖行動に支障が出るためだ。
ハンノキ林にて
講演が終了するころには日もすっかり落ちて辺りは夕闇に包まれていた。伝統工芸館近くの南の入り口から谷戸へ入った。入ってすぐのスロープは段差が見えにくく、皆そろりそろりと足を運ぶ。ハンノキ林では薄明がほどよく遮られて、低木の茂みに適度な暗がりができていた。時折、木が風に揺られ、何かの光がちらりほらりと見えた。はじめは民家の明かりが草木のすきまから漏れてきているのかと思ったが、よく目を凝らすとそうではない。その光は強く光った後スーっと流れて消えていく。ひょっとしたら...と思いもう一度よく見る。今度は、はっきりとホタルの光と確認できた。
ホタルの発光飛翔
ホタルが光るたびに人々が一斉に「おー」と叫ぶ。その声を背後に聴きながらホタルの国のメインスポットへ向かった。水田がある場所は空が開けていてまだ薄明が強い。木道の両側は人が鈴なりだ。竹やぶ近くの暗がりに目を凝らしながら進んでいくと、目の前を飛ぶホタルに遭遇。足元の草むらに目をやるとそこでも光っている。圧巻だったのは、木の中から飛び出して旋回し、しばらくうろうろした後、数十メートル滑空、最後は草の上に着地した1匹。このオスは無事メスを見つけたに違いない。
大勢の来場者が次々と谷戸に集まってくるのを見送りながら、午後7時30分ごろ北の入り口を出て帰途に着いた。
生田緑地ホタルの国ホームページ
生田緑地ビジターセンター
ゲンジボタルの説明板
谷戸の再生水田
ホタルが目の前を飛んでいったのには驚いた。同時に、生田緑地のあの場所で生き続けられるように大切に守らなければならないと確信させられた。皆で楽しんでホタルを守るという保護戦略は成功しているといえそうである。