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安全な山登りに挑戦

取材日 2012年08月22日(水)

 日本の登山者人口は、400万から600万人前後と言われている。ハイキング程度の軽登山人口も含めると、ほぼ倍の数に上る。緑多き夏山や紅葉の山岳写真を見て、今年こそはと、山登りを志す人も多いだろう。だが山は日常の世界とは違う。警察庁による昨年の統計では1830件2204人の山岳遭難者があり、死者・行方不明者は275人にものぼる。
残念ながら、このうち60歳以上は遭難者の50.7%を占め、死者・行方不明者に至っては70%を占めるという。もちろん全登山者の65%を中高年が占めるとも言われていることから、確率的にも該当者が多くなるのは当然であるが、やはり加齢から来る体力の衰え等で、重大事故につながりやすいのは間違いないだろう。とくに単独行での遭難確率は複数行の2.4倍にも上るという。

これから登山に挑戦したい人、しばらくぶりで再開したい人にとって、安全に山を楽しむためには何が必要か?その答えを見つけるため8月22日、「川崎ハイキングクラブ」の室内例会に参加してみた。場所は小杉こども文化センター。毎月第4水曜日の19時からで、今回の参加者は50名ほど、シニアが中心であった。
今年の様々な山行の報告では楽しい思い出だけではなかった。「装備の詰まったリュックを谷に落としてしまい、撤退を余儀なくされた。」「訓練不足から下山時に膝を痛め、同行者に迷惑をかけた。」等の失敗談や注意事項などの情報交換、さらには他のグループの遭難者の救援活動の報告まであった。

「川崎ハイキングクラブ」は1977年川崎勤労者山岳会の有志20名が創立、35周年の現在102名の会員(男女比はほぼ半々)を誇るクラブに成長。その活動は主に、ハイキングから無雪期の縦走まで幅広く、初心者からベテランまで様々な山行を毎週のように行っている。このクラブは日本勤労者山岳連盟(通称 労山)に加盟。また神奈川県連盟の22の山岳会・ハイキングクラブと共に活動している。労山のスローガンは<安く・楽しく・安全に>とのこと。そのための教育活動を充実させ、基礎知識と技術を学ぶ新人教育山行や、地図の読み方・コンパスの使い方・天気図の講習・救急法の講習会が行われている。

初心者・シニアにとって嬉しいのは、散策程度のウォーキングから温泉付きの軽登山などもあり、体力・好みで選べる8組の組織のなかから、それぞれが主催する山行に自由に参加出来ること。入会金1000円・年会費10000円だが、お試し山行というものがあり、300円のお試し参加費を出せば、希望の山行に同行させてくれる。交通費その他の費用は各自負担となる。

例会時に9月2日の初級山行「箱根・湯坂道」(温泉付き)に参加するべく、この山行リーダー長谷川清一さんを紹介して頂きさっそく申し込む。雨具・水分・帽子・地図・磁石等、必携の注意事項を伝えられる。

実はこの山行を含めたレポートになる筈だったが、前日からの雷雨のため残念ながら中止になってしまった。天気図を読みながらベテランが中止の判断を下したが、山行にはこうした判断が、危険を回避するために重要であることを教えられた。

連絡先 〒211-0061
川崎市中原区小杉1-542 増山荘
川崎ハイキングクラブ

電話  戸浪 090-2672-4139
守口 090-7210-1459
佐藤政孝
シニアリポーターの感想

アウトドア志向の延長のような「登山ブーム」、それ自体は歓迎すべき事だろう。日常生活を離れ、美しい自然の中で、大いに解放感を味わう。が、非日常には危険もある、しっかりとした指導者のもとで、安全な登山を目指したいものである。