
- 会場の川崎産業振興会館

- 講師の澤岡詩野(しの)さん
企業等を退職したシニア世代の技術や経験を、市内・地域の発展に生かすために「達人倶楽部」という市の事業がある。その「達人倶楽部」主催の「わくわく推進計画」と題したセミナーを訪ねた。会場の川崎産業振興会館に現役を退いた10名の参加があった。
第1部キーノートスピーチ(基調講演)
「シニアの第三の居場所としてのコミュニティビジネス」
講師の澤岡詩野(ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員)さんは、第一の居場所を「家庭」、第二の居場所を「学校、職場」、第三の居場所を「趣味、社会活動」と位置付け、健康寿命が延びたこれからは「いかに生きるか」が課題と説く。アメリカで発展した老年学は「幸福な老い」の条件を科学するというもの。「20年以上ある定年後の時間をどう生産的に過ごすか?」。近年では生産的な活動(ボランティアやNPO等の社会貢献活動)に従事することで得られる影響を老年学は指摘していると語った。
都市部でも高齢化は急速に進み、買い物難民、冠婚葬祭など日常生活に深刻な影を落としている。かつては地方の問題であったものが、大都会に移行した。
こうした高齢化社会のリスクを遅らせる、あるいは回避することが社会的な課題であるが、シニア世代のキャリアを生かすステージ創りにもなり得る。
第2部ワークショップ「シニアとコミュニティビジネスへの道」
参加者が現役時代に培ったキャリアや、今後やりたいことなどを自己紹介し、2グループに分かれた。第1部の講座内容を基に、各自意見を出し合う方式でグループワークは進められた。
高齢期に「あったらいいな」という「第三の居場所」・「幸福な老い」を創り出せるような、起業企画が発表された。
その1、コミュニティカフェ「サザエさん家(ち)」
その2、中小企業(町工場)支援ビジネス
サンプルプランニングとはいえ、社会貢献、自身の生きがい、労務費を得る、雇用を生む、持続性がある、リスクを及ぼす「設備投資」はしないなどを踏まえている。
セミナーは6時間に及んだ。年長者は84歳、女性2名を含む受講者からは、来るべき超高齢化社会を、乗り切れそうなシニアの力を感じた。
今後実現可能な「コミュニティビジネス展開」の第一歩になればと、「達人倶楽部」は期待をよせる。またその支援の用意もされている。
同席したサポートの大学生4名が「大人との意見交換は貴重な体験、就活に役立つ」といきいきと語っていたのが印象的だった。
【参考】川崎市企業等退職者人材活用支援事業を「達人倶楽部」と称し、社会貢献を望む会員登録をした個人・団体を支援している。
問い合わせ:川崎市経済労働局労働雇用部 電話044-200-3212