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手作りの「お正月飾り」

取材日 2012年12月23日(日)

池田進講師の職人芸
池田進講師の職人芸
製作部品と完成品
製作部品と完成品

  お正月飾りに欠かせないもの、それは人によって「門松」だったり「鏡餅」や「しめ縄」と思い浮かべる物は様々だろう。クリスマスが終わると、お正月飾りが町のあちこちで一斉に並べられる。それを見ながら今年はどんなお飾りで新年を迎えようかと思いをめぐらす。

 

そんな中、日本民家園で「わら細工『しめ縄(たまかざり)』体験講座」が開かれた。昭和60年から始まったこの人気講座には抽選で20名が選ばれ、朝10時に千葉から移築された漁師の旧家「作田家」に集まる。女性の参加者が多い。庭先いっぱいにゴザがひかれ、まだ青味の残ったわら束が用意されていた。


集まった参加者のきっかけは、広報や、かつての参加者からの口コミ等さまざまだ。共通するのは自分の手でお正月飾りを作り、いつもと違った新しい年を迎えたいという思いだ。
4グループに分かれて製作が始まる。指導にあたるのは「民具製作技術保存会」の「わらグループ」に所属する講師の方たち。この保存会はこの他にも「竹細工」や「機織り」部門があるという。私たちの先生は10年のキャリアという農家の池田進さん。他の講師の方には、元校長先生や様々な職歴の方がおられるそうだ。今は5人のメンバーだが、やはりここでも技術の伝承のための後継者集めに苦労しているという。この講座は人探しの一面もあるとのこと。


作業前に、まずわらを二掴み霧吹きで湿らせ、大きな小槌でたたく。しんなりと柔軟性が増し、折れにくく加工しやすくなる。ゴザに移動して製作開始。土の冷たさが靴下を通してしみ込んでくる。わらのあんこを芯にして親綱というしめ縄を作る。両手はもちろん、右足かかと、さらには左ひざと全てを動員しての作業。言うことを聞かない手足がもどかしい。出来上がったしめ縄を輪にし、3か所にわら束を刺して下げるのだが、これが難しい。要所で講師が救いの手を差し伸べてくれ、なんとか形が出来上がっていく。結び方も「とっくり締め」や「本締め」という特殊なもので、まさに伝統芸。


昼食は囲炉裏端に移動し、お弁当を広げる。冷え切った体に薪の火が有難い。多少の煙はがまん。「作田家」と古民家の歴史解説に聞き入る。
午後はわらの土台を完成させ、飾り付けを始める。本物の昆布・海藻・ウラジロ・ユズリハ・ダイダイを親綱に付けていく。約4時間の悪戦苦闘。思いもかけぬ豪華な「たまかざり」が完成した。
(途中、気になっていた「輪飾り」との違いを教えてもらった。輪飾りは、「あん」を芯に入れない、わらヒモで作る簡素なお飾りとのこと。)

囲炉裏を囲んで

囲炉裏を囲んで

飾り付け作業

飾り付け作業

完成!

完成!

佐藤政孝
シニアリポーターの感想

正直なところ、あまりの立派な「たまかざり」に、作った本人がビックリ。良い年が来ることを確信しました。