各種血圧計、どれを選ぶか?
川崎市立多摩病院
スライドでの講演
ありふれた病気として放置しがちな「高血圧」。患者数は、男性60代で55%、70代以上で65%(女性50%、60%)にものぼる。怖いのは自覚症状がなく静かに進行し、様々な臓器をむしばんでいくことだ。やがて血管や心臓、腎臓への負担から動脈硬化をひきおこし、脳卒中・心筋梗塞・慢性腎臓病へと進行していく。
この恐ろしい高血圧を自覚してもらおうと登戸にある「川崎市立多摩病院」(平成23年3月から地域医療支援病院)で第33回川崎市立多摩病院市民健康講座が開かれた。講師は当病院の腎臓・高血圧内科医長 横山健さん。抽選で受講票を手にした100人で講堂はいっぱい。参加者は男女半々で、中高年がほとんど。スライドを使った約1時間の講演後は、薬と副作用・持参した血圧データ・検査数値の解釈等、多くの質問が続き、日々高血圧と対峙している参加者の不安と関心の高さがうかがわれた。
講義の内容をピックアップしてみよう。高血圧の判断基準は、家庭測定値で最高(収縮期血圧)135最低(拡張期血圧)85以上、病院診察室では140-90以上(血圧計は「上腕カフ式」が望ましい)測定位置は心臓の高さにすること。高すぎれば数値は低く、低いと高めとなる。また日中の活動期には高めとなりやすいが、問題は早朝や夜間の安静時の高血圧である。早朝と就寝前の測定が望ましい。
また1機会に何度測るかだが、1度の測定でも良いし、複数回であれば血圧変動の評価に有用。要は継続的に記録することが大事である。
日常生活で注意すべきは、
1 減塩 日本人の平均塩分摂取量は1日11gだが、高血圧の人はこれを6g以下に。高血圧でなくても男性は1日9g以下、女性は7.5g以下が望ましい
2 野菜・果物・魚の積極摂取。
3 減量 BMI(体重Kg÷身長m÷身長m)を25以下に。また腹囲を男85cm女90cm未満に。
4 適度な運動(60歳代では脈拍100~110回程度のもの。散歩・体操・水泳等)。
5 節酒、禁煙。
また塩分を過度に下げようとするのも問題があるとのこと。カルシウムやカリウムは塩分を排泄させ血圧を下げるが、サプリメント等での過剰摂取は別の障害を生じさせる。血圧だけではなく身体全体の事を考え、信頼できる医療機関で適切な治療を受けることが大事である。
なお多摩病院では定期的に健康講座を開催している。専門医から最新の情報と対処法を得ることをお勧めする。
問合せ先 川崎市立多摩病院 医療相談センター 044-933-8111
講演を聞いて、高血圧への思い違いを知らされた。高血圧そのものが問題なのではなく、それが引き起こす内臓へのダメージが問題なのだということ。そして安静時の高血圧というシグナルを見つけたら、出来るだけ早く・適切な対処をする事が大事だということだ。