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ボランティアが支える「ばら苑」

取材日 2013年05月16日(木)

満開の「ばら苑」 
満開の「ばら苑」 
つるばらも随所に
つるばらも随所に

広大な苑内には約530種4700株のバラが咲き乱れる。今年も約半月の期間限定で一般開放される時期を迎えた。これを支えているのは数人の職員の他に、なんと200人近くのボランティアの存在があると言う。

「ばら苑」存続の苦闘
かつては東洋一とも言われたこの「ばら苑」向ヶ丘遊園の閉園後、その存続を望む多くの声に押され、2002年に川崎市が引き継ぐことになったものだ。
しかし、いちど閉園と決まった「ばら苑」は雑草に覆われ、回復には多くのボランティアの力が必要だった。第1期生として声を上げたのは681名に上ったという。「スコップやつるはしを持つことから始めたのですよ。」「ローマ作戦と称して5カ年計画で復興させました。」と語るのは1期生の長澤さん。並行作業として、苑にあるバラ全てに名前と履歴を付けると言う、気の遠くなる作業も行われ、貴重な財産となっている。

新しいバラを創る
バラの種類は2万種類以上とも言われ、世界中で今も新しい種類が生み出されている。異なった種類のバラを受粉させ、種から作りだす方法。これには10年単位の時間がかかるという。また突然変異であろう「枝変わり」(写真参照)によって新しい種類が出現することもある。これらの新品種が安定的に定着したものが新しいバラとして認められていく。

世界殿堂入りのバラ
苑のところどころに「世界殿堂入り」という名札を持ったバラがあり、長澤さんから説明を受ける。世界40カ国が加盟する世界バラ会議(ロンドンに本拠)で3年に1度選ばれたバラのことで、現在15種類が選出されている。基準は誰もが美しいと認めるのはもちろんだが、世界各地の環境で育てやすい丈夫なものでないといけない。第1号は1976年に選ばれた「ピース」(写真参照)、作者はフランシス・メイアン(仏)だ。第2次大戦中、ナチスドイツに侵攻されたフランスにあって、メイアンは1本の苗木をアメリカの領事に託した。米国バラ協会は1945年「ピース」と命名、戦後に平和の象徴として世界に広まった。

 開苑初日、午前中だけで約1000人の入場者があったという。毎年来ているという女性は「こんなに一斉に咲いた年は初めてで、とても感激しました。ボランティアの方に感謝です。」と満足そうに話していた。

公開期間 25年5月16日(木)~6月2日(日)
火~金 10:00~16:30 (最終入場16:00)
土日祝  9:00~16:30 (最終入場16:00)
月曜休苑(5月20日、27日)
入苑無料(ばら苑募金をお願いしています)
バラ苑講習会・コンサートもあり。
問い合わせ 044-978-5270

長澤ボランティアと世界殿堂入り「ピース」

長澤ボランティアと世界殿堂入り「ピース」

「枝変わり」で色違いの花 

「枝変わり」で色違いの花 

彫刻も見どころ 

彫刻も見どころ 

生田緑地 旧向ケ丘遊園内
佐藤政孝
シニアリポーターの感想

多くのボランティアの方々には本当に感謝しています。川崎市にとって稀少で誇るべきこの「ばら苑」を、長く存続させてほしいと思いました。