ススキと紫式部の生け花が和の華やぎを演出する幸市民館の明るい和室。
語りの会 ストーリーテリング幸(さいわい)の方が、美しい声でよどみなく語るのは日本、イタリア、メキシコ、モンゴルの耳新しい昔話などの物語。
ストーリーテリングとは、本を見ての朗読と違い、話を覚え、生の声で、聴き手に届け、そして最終的にはその本(読書)につなげる事を言う。
11人の聴衆は物語の面白さもさることながらその巧みな語りに聴き入った。
「素晴らしい芸術ですね」と感嘆しきりであった。
モンゴルの昔話「石になった狩人」は3・11の事を思い出させた。
優れた狩人のアンチンフ―は白蛇(実は竜王の娘)を助けた。お礼にもらった石の宝のおかげで、彼は鳥や獣の声がわかるようになった。然し、この石の宝のことを他言すると彼は石に変えられるという掟があった。ある日、獣たちがどんどん逃げていくのを見た。声を聞くと「山の大爆発と洪水が来る」と言っている。彼は村人にそのことを話し、逃げるように呼び掛けるが、村人たちは信用せず逃げようとしない。彼は「自分は石になってもよい」と、石の宝のことを話し村人たちを逃がす。その後、助かった村人たちは、泉の流れの中に青い石を見つけ、アンチンフ―のことを語り伝えた。
語りの会 ストーリーテリング幸
この会は、幸市民館で催された講座の一つから2000年に生まれた。
会員は30代から70代までの女性ばかり12名。特定の先生はおらず、月1~2回集まり、お互いに、話すこと、聞くこと、イメージすることを大切に練習している。暗誦しようとするのではなく、物語を十分に自分のものにすれば自然に語ることができる。声は経験でだんだん良くなる。
近隣の小学校や幸図書館を中心に活動していて、大人のためのおはなし会は年2回開いている。
ストーリーテリングの魅力
聴き手(特に子供)の目を見て語っていると、心の動きをキャッチでき一緒に物語を楽しむことができる。それがこの上ない喜びだという。
大人のためのおはなし会、次回は来年2月27日に幸市民館内(場所は未定)で開かれる。 「ぜひ聴きに来て下さい」とのこと。
この会についての問い合わせ先:幸図書館 044-541-3915