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古民家で観る人形浄瑠璃

取材日 2013年09月22日(日)

旧工藤家外観

旧工藤家外観

巡礼姿の娘おつる

巡礼姿の娘おつる

1体の人形を3人で操る

1体の人形を3人で操る

日本民家園に移築展示されている江戸時代の古民家旧工藤家で同じ江戸時代に生まれた人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段(けいせいあわのなると じゅんれいうたのだん)」が演じられた。

 

「とざい、とーざい」の掛け声と拍子木で開幕。

藩の事情により大阪で盗賊の仲間に入っていた十郎兵衛・お弓夫妻。そこへ国許阿波に残してきた娘おつるが両親を捜し巡礼姿で訪ねてきた。お弓は我が子と分かったが盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れ国許に帰るように追い返す。しかしここで別れてはもう二度と会えないと思い急いで娘の後を追う。

30分ほどの上演時間であったが太夫と三味線、人形の動きが三位一体となり親に会いたい一心のけなげな娘と、娘を思う母の愛情を見事に表現していた。

 

人形浄瑠璃についての説明時間も設けられ皆真剣な眼差しで聞いていた。1200万円もする人形の部品や作り方の話。1体の人形を、人形の頭(かしら)と右手を操る主遣い、左手を操る左遣い、足を操る足遣いの3人で操る。左手と右手を別の人が操るため、手を合わせる動作や、両手を付くおじぎの動作が難しいとのこと。

 

小学生からシニアまで幅広い年齢層の観客約120名で古民家の会場はいっぱい。休日のせいか家族連れやカップルが目立った。

「自然に涙が出てきました」「初めて観ましたが感動しました」「お人形さんが生きているようだったよ」等の声を聞いた。実際に人形を操る体験をした観客は、「重たくて大変ですね」と心配顔だった。人形と一緒に写真を撮ったり、座員の方に熱心に質問をしたりしていた。

 

本日演じた国の重要無形民俗文化財「相模人形芝居」を伝承する民俗芸能団体「下中座(しもなかざ)」。座長の林(みねこ)さんは「私たちの活動は、学生、公務員、サラリーマン、自営業等の座員によるボランティアによるものです。人形や活動の維持管理はもちろんですが、相模人形芝居を継承していく人材の育成が大きな課題です。」と語ってくれた。

取材同伴者名:平野貞則
川崎市立日本民家園
松井 洋一
シニアリポーターの感想

古民家での人形浄瑠璃、まるで江戸時代の庶民の生活にタイムスリップした感覚を味わった。話を伺った下中座の座員の皆さんや座長の林さんの目が輝いていたのが非常に印象的だった。興味のある方は「下中座」のホームページをのぞいてみては。
来年も同じ時期に民家園での公演を計画中とのこと。今回は民家園の入園料込みで観覧券は1000円だった。