本番前の記念写真 6月21日
本番前の記念写真 6月29日
ホールの息が一つになると芸術になる
♪音楽会の楽しみ方
2014年6月21日と29日、昭和音楽大学・ユリホールで、「第2・3回 おとなだけの音楽会2014」が開催された。今年で9年目を迎える音楽会は、60歳以上のアマチュアが、クラシックホールに出演する本格的な音楽会である。今年も川崎市内はもとより、伊勢原市、座間市、横浜市等から、シニア30名が参加し華やかなステージドレスで、声楽や器楽を披露した。
最後に星出豊・同大学客員教授は「自らの心と書くと息になる。悲しむ人の息を吸ってしまうから、もらい泣き。演奏者と聞き手の息が一つになり、フッと楽しんだ時、両者が芸術家になる」と講評した。
♪ノクターン
本番前に集合写真を撮影後、音楽会が始まった。司会者が演奏者と伴奏者の名前を告げ、6分間のドラマがスタート。
21日は声楽と器楽。楽譜を持つ手が小刻みに震えながら歌い始めた方や、杖の替わりに傍らのグランドピアノに手を置く方、堂々と歌う方など様々である。
後半、体を支えられ、杖で登場した女性が、ショパンのノクターンを弾き始めると、会場は静まり返った。映画「戦場のピアニスト」にも使われた曲で、弾き終えると大きな拍手。後方から「上手い!誰?この人」と感激の声が聞こえた。閉会後、90歳のピアニストに握手を求める人が続出した。
29日は声楽のみだったが、迫力ある歌声に大きな拍手やブラボーと叫ぶ声があがった。
♪夢のお手伝い
この音楽会は、「若い頃から音楽が大好きで、一度ステージに立ちたい」「成人してから始めた音楽を大きな舞台で披露できたら」との夢を実現させる企画が持ち上がり、2005年12月に実現した。聴衆として鑑賞後、翌年の出場を申し込む方も少なくないという。
♪舞台の袖で
「胸がドキドキして止まらないと出番直前まで緊張していた出演者が、演じ終えて晴れやかなお顔で戻って来た。今日は舞台の袖で付き添いの家族が涙ぐむ姿があった」と司会者から舞台裏のエピソード。
♪輝く生き甲斐
・初出演の女性(90代)は、結婚して中断していたが、夫が亡くなった70歳から本格的にピアノを習い始めた。
・第1回から出演の女性(70代)は、カラオケで声が良いと褒められ、本格的に声楽を習い始めて10年になる。
・座間市の男性、女性(70代)は、地元のコーラスメンバーで、オペラのオーケストラの前で独唱し、感動したのがきっかけと話す。
皆さん、今では発表の場が生き甲斐という。
「おとなだけの音楽会2015」は平成27年3月28日(土)
昭和音楽大学「おとなだけの音楽会」係 044-953-9877
(感想)
初めての曲目ばかりのパンフレット、無料で予約不要だったので、あまり期待せずに出かけた。小ホール全体に響き渡る声楽にブラボー!心地よい緊張感に包まれ、レベルの高い音楽会。アマチュアの世界の奥深さを改めて認識した。会場が麻生区だからこそ、9年間も継続している音楽会を、今後も期待したい。
記者 吉川 眞沙美
シニアライフには何らかの杖が必要である。音楽という杖を持つ参加者は全員輝いていた。(同行者 勝野井さんの感想)
寿命延び未完の夢に日を当てている 金子美智子(川柳選者・神奈川新聞)