第4回「二子の渡し体験」を取材した。この催しは川崎市高津区役所地域振興課の主催で高津区二子の二子神社境内と多摩川河川敷にて開催された。
「二子の渡し」乗船受付開始30分前には、既に数10人の家族連れや友達仲間の長蛇の列が出来、先着100名が乗船カードを手にする事ができた。
二子の渡しの由来
今は途絶えてしまった「二子の渡し」は、多摩川両岸を結んでいた旧大山街道の渡しである。始まりは、今から300年位前に遡るが、1925年の二子橋の完成で使命を終えた。
乗船を待つ間、二子神社境内では「二子の渡し」の由来について紙芝居が始まり、親孝行の双子(二子)が天から授かった小判の遣い道として、川渡りで難儀する人々に役立てようと「二子の渡し」を始めたとの紹介があった。
「二子の渡し体験」の催しは、2011年10月29日に1日限定で復活し、昨年は台風で中止され今年が3回目の開催である。
乗船準備
乗船の順番を待つ間、参加者がイベントを楽しめるように工夫されていた。
大人も子どもも鮎のぬいぐるみの色付けや、けん玉、竹細工、竹馬遊びを楽しんだり、多摩川鍋やヤマメの塩焼きで腹ごしらえをしていた。親子連れの参加者からは、「早くお舟に乗りたいね」「どんな船に乗るのかな」と乗船への期待は高まっていた。
二子の渡し体験
8人毎に二子神社から河川敷に移動し、各自がライフジャケットを装着した。ライフジャケットで悪戦苦闘する子どもには、年配の担当者が孫を見るように優しく手助けしてくれた。和船の左右船端に行儀よく4人ずつ座ると船はゆらりと多摩川に乗り出して、出発進行。船で多摩川を渡り対岸の世田谷区の兵庫島に無事に到着した。対岸からは、二子神社のお社とケヤキの大木をうかがうことができ「かつては川幅もひろく水量もあり、時間の流れもゆったりとしていたのではないかしら」と年配の方が思いを馳せていた。再び乗船した際には田園都市線が二子玉川駅に入っていく様が目に飛び込んできて、「現実に引き戻されたね」との声が聞こえてきた。
待ち時間けん玉遊び
優しく手伝うライフジャケットの点検
二子の渡し・いざ出発
多摩川の河原は、この日もバーベキューの人たちで賑わっていたが、昔は生活に必要な渡し船が往来していたのかと思うと時代の流れを痛感した。いつも橋の上から川を眺めていたが、視点が変わると違う風景が見えてきた。