シニアリポーターの取材リポート リポーターが取材したイベント情報をご紹介!

知っているようで、知らなかった虫歯治療

取材日 2017年05月09日(火)

歯切れの良い講師の話に釘付け

歯切れの良い講師の話に釘付け

もう席ないかなぁ~(開始15分前)

もう席ないかなぁ~(開始15分前)

歯の根の先で、神経組織を切断

歯の根の先で、神経組織を切断

 かわさき健康塾で「虫歯治療の現実パート2」を受講した。講師は医療法人RAISEデンタルクリニックK斎藤圭院長。 初期の虫歯治療の続編だが、神経や歯を支える骨にまで虫歯が進行する内容だった。初めて知った根尖(こんせん)病巣を紹介したい。主催は川崎幸病院で、開始15分前にほぼ満席状態だった。

 

●歯の神経を抜いたことがありますか?(虫歯治療の現実

 根尖病巣は、根っこの先の病巣を指す。

抜髄(神経を抜く=神経を切断する)直後から、大抵の場合、根の先に膿みが溜まる。普段は自身の免疫力で抑えられ、眠っている。免疫力が低下し、膿みを抑え切れなくなると、少し膨らみ、神経を圧迫する。虫歯の痛みとは比でないくらいの激痛に発展する。過去に抜髄処置をした人もご用心(身体は古傷という扱いをする

 根尖病巣は虫歯以外でも起こる。例えば、矯正治療。長い時間をかけて歯の位置を動かすため、歯をぶつけた時と同様の刺激となり、神経が死んでしまう。生まれ持った体をいじると、絶対に何かしらのデメリットを抱える。良いことずくめでは無いので、損得を天秤にかけて決めることが大事。

 

●現在は歯を残す時代

 歯のライフサイクルを考えてみよう。 7歳の時、虫歯と診断され歯を削った。人工物を埋めるか被せて治療が終わる。15歳で治療した歯の被せ物の中で虫歯が再発する。つまり、一度処置した歯は一生処置し続ける。しかも、毎回前回よりたくさん削る。 

 最近、子供の初期虫歯は削らない傾向という。

虫歯は細菌感染で、歯が腐る病気。できるだけ無菌に近い口内の状態がベストなので、まず歯磨きをしっかり指導。穴は塞がらないが、歯の表面が再石灰化すれば、治療しなくて済む。出来るだけ削らないようにし、削るなら最小にする。次の処置をする時期を出来るだけ遅らせると、歯の寿命は延びるという。

 

●歯の寿命の決め手は、歯磨きと定期検診

 歯磨きには磨き癖があり、どんなに頑張っても6割位しか磨けていない。4割は他人でなければ取れないため、大抵は歯科医院の衛生士がすることになる。歯科医院での定期検診や磨き残し掃除が有効である。「歯の治療をしない為、これ以上悪くしない為に歯医者へ」で講座は終了した。


会場から質問

 先週、歯の激痛で救急車を呼んだ。12歳で受けた奥歯の抜歯が原因での、根尖病巣。講師のお話そのものだった。50年前の歯科医の腕が悪かったのか?

 (答え) 神経を抜いた後に膿が溜まるということは、歯科医の腕の良し悪しではなく、避けられない歯科治療の現実である。

 

 

 

ミューザ川崎研修室
吉川 眞沙美
シニアリポーターの感想

昨年、掲載された「歯科治療にはそもそも治すという能力がない。治療した歯は、将来必さらに大きな再治療が必要になる」との講師の一文に衝撃を受けた。歯科に長年通う私も、初めて知った根尖病巣の話には、明日は我が身と講座に聞きいった。
 過去に神経を抜いた覚えのあるシニアの皆さま。根尖病巣のリスクを含めて、歯科医院で検診と磨き残し掃除に、少しはチャレンジするも良し・・・
吉川眞沙美