★「天上の音色」を世界に発信したい
今回は、二十五絃筝(げんそう)&グランドハープで、和洋の琴による珍しいユニットだった。
和の奏者、中井智也さんは、両袖の肘までまくり上げ、時には前傾しながら縦横に演奏する。
グランドハープの堀米綾さんは、ロングドレスの下で、こまめに足元のペダルを踏み分ける。
研ぎ澄まされた和洋の響きが宙を舞う。初めての楽器に、観客席も静まり返った。
「おぼろ月夜」「私のお気に入り」など5曲の演奏後、アンコールは、マンドリン用の楽曲「チャルダッシュ」。軽快なテンポでマンドリンの切れを、見事に表現した。観客からブラボー!と温かい拍手が続いた。
中井智也さんは、「二十五絃筝を『極楽の琴』、グランドハープを『天国のハープ』とも言われる。二つの楽器の合奏で、『天上の音色』を世界に広めたい」と語った。
訳注:二十五絃筝とは、27年前に日本で開発された。伝統的な琴(13本)より、倍近い25本の絃を使う筝で、6オクターブ半の音域を広げている。
コンサートホール用のグランドハープは、伝統的なハープより倍近い47弦あり、響きが大きい。最大の特徴は、足元にある7本のペダルで半音調節ができること。7オクタ―ブ半の音域はピアノ並みだ。
★バックヤードツアー
広報課長の案内で、楽屋裏を見学した。特に印象に残ったのは、
*頭上から音が降ってくる・・。感動した海外の楽団員が、ネット配信して、音響の良さが世界中に注目された。
また、英国出身の指揮者サイモン・ラトルが、ミューザの音響を気に入っており、母国の新しいホールの計画のために、視察を行った。
*座席の話
当ホールは、ステージの周りを客席がぐるりと取り囲む「ヴィンヤード(ぶどう畑)」形式だ。ステージ後方席は、通常ほとんど空席だが、著名な指揮者の場合、わずか数分で売り切れる。やや広めの貴賓席もある。参考小冊子「ステージの見え方 聴こえ方」は必見!
*指揮者、ソリストの控室
照明ランプ付きの鏡台、シャワーや、ピアノ付きの部屋もあり。二重窓と完璧な防音室だった。
懐かしい「おぼろ月夜」から、観客の心を虜にした(ミューザ川崎提供)
ミューザ川崎のロゴマーク(ミューザ川崎提供)
よりクリアな音質をめざす技術者
ランチタイムコンサートで、久しぶりに聴きごたえのあるひとときを楽しめた。二十五絃筝(げんそう)とグランドハープの演奏を再度聴いてみたい。初めて見学したバックヤードツアーもわくわくした。音響の技術者も誇らしげに説明する。「いかに音を楽しませようか」という気迫に溢れていた。
◎ミューザ川崎シンフォニーホール
ランチタイム(500円)&ナイトタイム(1,000円)コンサートは、毎月一回、リーズナブルな価格で、上質な音楽を気軽に鑑賞できると好評である。
◎当ホールは、2019年1月15日~6月30日まで、改装工事のための休業する