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雲が切れた、見えたぞ「金環日食」

取材日 2012年05月21日(月)

何とか撮れた 金環日食 
何とか撮れた 金環日食 
今だ、見えたぞ 
今だ、見えたぞ 

人の一生のうちでたった一度あるかないかのチャンスが今回の「金環日食」だった。ほぼ6カ月ごとに地球のどこかで出現しているという日食だが、わが川崎でも見られるのはじつに173年ぶり。太陽・月・地球の直列天体ショーに地元で参加できる幸運の一日だった。今回は月の位置が地球から遠く、小さく見えるため太陽を全て覆い隠すことのない金環日食だ。

曇り空のもと、朝6時前から生田緑地・宙(そら)と緑の科学館前の観測会に集まった1000人余りの幸運な人たち。5000人を超える応募者から抽選で選ばれた。取材には多くの報道陣が集まっていた。しかしながら太陽はいっこうに現れない。同科学館の学芸員・國司真(くにし まこと)さんも、「今日は多分ダメですね」とつぶやいていた。東京の方の空は雲が切れ青空が見えている。私の携帯に都内から、欠けた太陽の写メールが届く。なんとも羨ましい。

空を仰いで1時間、ときおり雲が薄れ始め、待ちに待った光景が現れた。会場に1000人のどよめきが広がる。マイクからの呼び掛けに貸し出されたグラスを一斉にかざす。そこに見えたのは右から欠け始め、すでに50%程になった太陽だ。
なんとも美しい。見続けると目に危険という注意も忘れ、食い入るように見てしまう。なにしろすぐに雲が邪魔をするのだ。肝心の太陽の環が見られないのでは、という不安がよぎる。ここ生田緑地では7時34分17秒で金環日食が最大になると説明があった。その前後5分間だけの奇跡を、集まった人たちが一様に祈る。そしてとうとうその願いがかない感動の天体ショーをこの目で見届けることが出来たのだ。

屋外での観察会が終わり、すぐ目の前の科学館ではプラネタリウムで投影会があった。ここには今年の4月、科学館のために開発された、世界で唯一の最新機種メガスター・スリーが設置されていた。「世界最高の星空」との評価が高い機器のおかげで、本日の日食も含め、美しい星空も堪能することが出来た。
見学者の中に今日これから婚姻届を出しに行くカップルがいた。「立会人は太陽と月だそうです。」、解説者の紹介に会場から拍手が沸き起こった。1000人を超える人たちと一喜一憂した観察会は思わぬ「幸せ報告」で無事終了した。

取材・写真協力・石渡一美 佐藤守泰

 

報道陣も続々 

報道陣も続々 

木漏れ日のさざ波、レフ板に投影 

木漏れ日のさざ波、レフ板に投影 

世界最高水準のメガスターⅢ 

世界最高水準のメガスターⅢ 

取材同伴者名:石渡一美
佐藤政孝
シニアリポーターの感想

新緑の生田緑地の広場で、1000人もの人達と貴重で幸運な体験ができました。集まった観客は、小さな子供を連れた家族、老夫婦、若いカップルと多岐にわたりました。この中から未来の天文学者が産まれるかもしれません。