
- 杉山いち子先生

- まず初めにストレッチ
「ケッ」「ケッ」と人間離れした声が響く。クロールのような仕草で「ア・エ・イ・オ・ウ」の発生練習。床に寝転がって飛行機のポーズ。
ヴォイストレーニング入門講座の真っ最中である。
1月24日から全5回で、ヴォイストレーニング入門講座が開催された。
Jazzヴォーカリストの杉山いち子先生を講師に迎え、ストレッチ体操と発声法を学んで、Jazzを楽しく歌おうと言う企画である。杉山先生は、川崎駅近くのライブハウス
「Jazzぴあにしも」のオーナーでもあり、お店でもヴォイストレーニング教室を開いている。
今回の講座は、5年前に一度開いた講座の評判がよく、2回目の企画が実現したもので、川崎区文化協会と川崎市教育文化会館が共催する
「ふれあい講座」である。募集は定員40名であったが、応募者が多く、講師の計らいで全員受講となった。参加者は、女性42名、男性4名の46名だった。
杉山先生は、もともとクラシックシンガーを目指していたが、声帯ポリープが原因で1年半歌えない時期があり、その後Jazzシンガーに転向した経緯がある。その時経験したヴォイストレーニングで声が良く出るようになり、健康にも良いので以来続けているそうだ。
講座は1回2時間であるが、そのうち40~50分を占める
ストレッチ体操から始まる。軽いものから次第にキツイものになって行き、終わる頃には、汗が流れるほどのキツサである。トレーニングのキーワードは3つ、
「腹筋と背筋」、「緊張と脱力」、「喉の拡張」で、ストレッチ体操もこれに基づいた内容になっている。体操の中には、水泳のクロールを思わせる動作があるが、あるプロ野球ピッチャーがウォーミングアップで行っているのを見て、やってみたら声が良く出たので、以後取り入れているとのこと。ヴォイストレーニングでここまでキツいストレッチを行うのは、あまり例が無いのではないかと思う。
その後休憩をはさんで、毎回1曲、Jazzボーカルの歌唱指導である。Jazz独特の歌い方や発音の仕方など、楽しい話で講義の時間はあっという間に過ぎてしまった。先生の歌声は良く響く艶のある声で、会場いっぱいに響き渡っていた。
参加した男性に感想を尋ねると、「歌う面白さが分かってきたので、これからクラシックの声楽を習うつもり」と話していた。
最終回を終えた後、希望者で講座継続の話し合いがもたれ、4月から自主講座として継続することになった。