おいしそうな匂いが、階下まで届く。3階へと、ざわめきを感じながら上がってみた。大山街道ふるさと館では、会食会が盛大に行われていた。ひとり暮らしの高齢者を招いた会場は、明るい笑顔が溢れていた。
招待を受けているのは45名。65歳以上の人を対象にしているが、男性は4~5名。70代から80代後半の女性が大半を占めていた。
主催は「高津第一地区社会福祉協議会」。会食会(福寿草の会)は一人暮らしの高齢者を「見守る」活動の一環として行われている。
社会福祉協議会(社協)とは、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現のため、地域・行政・福祉関係・当事者らが協力して活動を行う民間組織だ。高津第一地区の社協は、民生委員児童委員・主任児童委員・保護司・学校長・町会長などを中心に構成された任意の福祉団体として、身近な福祉活動に取り組んでいる。
会食会は年に7回。地区社協のスタッフたちを交え、総勢70名ほどでランチを楽しむ。食事の支度は地域社協の女性たちが献立、買い物、調理などを二日がかりで行ったという。食後は毎回、趣向を凝らしたアトラクションがある。今回は「高齢者の疑似体験」だ。実体験さなかの参加者たちになぞらえたモデルの姿に、会場は大爆笑だ。「長寿社会文化協会」による疑似体験は、大手企業が合同開発した装具を、「ケース」から出して身につけると「75~80歳」に変身できることから「うらしま太郎」というプログラム名がついている。
※ケース≒玉手箱
見守る側もご高齢だ。60歳前後のスタッフは若手といえる。しかしパワフルな活動に、シニア世代にささえられている現代社会を実感した。
会食後はキッチンで、地区社協の婦人方が山のような洗い物をこなしていた。
次回の「福寿草の会」は7月に予定されている。いつも「こちらが元気をもらうようだ」とは地区社協スタッフの声。
【高津第一地区社会福祉協議会】
活動資金は、会員会費、賛助会会費、共同募金分配金、その他もあるがこれらが基になっている。毎年6月ごろに、賛助会員の募集を行っている。
141回も続いている会食会
耳栓をして聞こえにくい体験
後片づけも楽しく
社協スタッフのご婦人がたは、調理に後片付けにと大活躍されていましたが、男性スタッフもエプロン姿でかいがいしく動かれていて、明るくユーモアに溢れたボランティア活動の様子が伝わってきた。