シニアリポーターの取材リポート リポーターが取材したイベント情報をご紹介!

 歩くだけでは筋力は衰える,「貯筋運動」を始めよう

取材日 2012年06月21日(木)

「貯金」通帳

「貯金」通帳

運動説明図

運動説明図

講師・松本弘志氏

講師・松本弘志氏

歩くことで使われる筋力は、ふとももの最大筋力の15%程度に過ぎない。散歩だけでは筋力は衰えるばかりだ。かといって高齢者でも始められる、安全かつ効果的な運動はあるのだろうか?そんな要望から産み出されたのが「貯筋運動」。東京大学名誉教授・国立鹿屋体育大学学長・福永哲夫氏が、高齢者に適した効率のよい運動法として開発した。

高津スポーツセンターで6月7日から28日まで、60歳以上限定で4回の講習会が開かれた。初回の説明はNPO)高津総合型スポーツクラブSELF理事・松本弘志氏、2回目からのトレーニングは健康運動指導士の太刀川尋也氏が指導にあたった。男性2名・女性10名の参加者で始まる。目をつぶっての片足立ちチェックでは大きくふらつき、筋力の衰えを自覚させられる。

人間の筋力は部位によって衰え方が異なる。20歳を100%とすると、腕は70歳になるまでその筋力は下回ることが無いが、一番衰えるのが腹筋、次に足となる。ぽっこりお腹で、引きずり歩き、つまずき予防に欠かせぬ杖。そんな未来図を克服できるだろうか?そのためにも筋力を保たなければならない。歩き方を改善すること。背筋を伸ばし、歩幅を少し広げるだけでも筋力は強化される。しかし歩くだけではだめ、より確実に弱った部位の筋力を高めたい。そのために考案されたのがこの「貯筋運動」である。

コンセプトは「筋肉を貯金する」ということ。ユニークな「貯筋」通帳が配られた。日々簡単な5種類の運動をするたびに、この通帳に1種類100円、計500円の預け入れが出来る。しかし3日さぼると500円が引き出されてしまう。1か月でどれだけの「貯筋」が出来たかを記録するためのものだ。

座るか・立って運動するか、選べる2種類のプログラムがあり、自分の体と相談して決める事が出来る。例えば筋トレの王様と言われるスクワット。高齢者向けに椅子を使ってのスクワットとなっている(膝痛予防に注意が必要。足は肩幅に開き、膝を足先に向かって曲げていく。つま先より膝を前に出さないことが肝心。上体を折り、後体重気味に立ち上がり、座る。)これを16回続けるとワンセット、100円の貯筋だ。2番目は片足をモモが水平になるまで上げる。左右各16回。3番目は片足を横に開き上げる。つま先は閉じ気味に。4番目は背伸び。5番目は椅子に浅く腰かけ後傾・前傾の腹筋運動(腰痛予防には、上体を丸め、決して反ってはいけない。)全て16回ワンセットだ。この他ウォーキング、スイミング等も一回につき100円にカウントできる。「注意することは水分補給。また安全のため呼吸を止めてはいけない。筋肉痛は筋力が強化されている証し。無茶はいけないが多少の無理はしましょう」とのアドバイスに、参加者一同、納得顔の講習会であった。

希望者は高津スポーツセンターで月4回の指導が受けられる(受講料3000円)。またネットで動画も見る事ができる(健康・体力づくり事業財団 貯筋運動プロジェクトで検索)しかしながら各運動には注意点もあり、出来れば指導員の下で実施することをお勧めする。貯筋運動教室事務局044・811・3415(カワサキスポーツサービス内)

佐藤政孝
シニアリポーターの感想

もう一度スポーツを楽しむ筋力を取り戻したい。寝たきりになりたくない等、参加者の思いは様々。最初は筋力不足や反射神経の衰えを痛感させられ、不安気味であった。実技に移り、安全な運動で心地よい汗をかき、疑問に対する適切な助言を受け、不安も解消。最後には明るい笑顔と会話がはずんだ。