その入り口近くには、小学6年生の時作ったとされる模型がこれだというばかりに展示され、その横には物が無かったであろう時代の原氏の中学・高校の頃に材料を工夫して作ったと云われる貨物車があり、どれも一番ゲージと云われる大きな模型の傑作である。彼のすごさは、全て、自分で作る、材料も身近な物を使い、鉄の車輪と鉄のレールの組み合わせ、架線からの電源、スプリング、人形のひとつ、ひとつへのこだわりだ。電車のことで必要とあれば、ドイツ語やフランス語まで独学で会得する。そんな生きざまを初めて感じながら、彼の生い立ちを、歴史を見て、また、改めて小学6年生の時、初めて作ったという電車をしみじみと見た。小学生の少年がそのまま大きくなったような人物で、今でもいろいろな夢やビジョンを持っていると同氏の長男は、語っている。隣の部屋では、開館特別企画で秘宝と言われるFSE626が展示されていた。この模型は、自作を代表する鉄道模型で、はんだ付けをいっさい用いずにすべてリベットとビスで組み立てられているという。
さらに奥へ行くと、実物の32分の1の「1番ゲージ」の鉄道模型が1周約70メートル、線路数6本、総延長約450mのレール上を走る数々のコレクション、そこにはまさしく世界最大級の大ジオラマが展開されていた。もう、鉄道模型マニアでなくとも釘付けになること疑いの余地がない。ただ、圧巻というしかないだろう。本物の電気機関車が通る様な鉄と鉄がこすれ合うスキューと聞こえる音、レールの継ぎ目を通過するコットン、コットンと言う音などがリアルに響いた。また、その奥には、横浜駅の今昔を現す「横浜ジオラマ」も興味深かった。どれもこれも、93歳の歴史だ。今でも、模型作りを欠かせないという元気なシニアのいきいき活動している姿を想像して、私もこれからだ、と思いながら帰路についた。
参考;原鉄道模型館には横浜東口よりポルタを通って徒歩5分 横浜三井ビルディング2F
開館時間 11時から18時まで 火曜日休館 但し 7,8月は無休
こだわりの鉄製車輪と鉄製レール 鉄のすれ音
世界最大級のジオラマの公開
物の無い中学、高校時代に自作した貨車
私は、熱心な鉄道模型マニアを知っている。私的時間の全てをもその物に没頭する彼をほどほどにして欲しいと思っていたが、その何百倍も何千倍の鉄道模型マニアの姿を見て、想像も出来ない世界の入り口に立った観である。