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納涼の夕べ 囲炉裏端で聞く遠野の語り

取材日 2012年08月05日(日)

川崎市日本民家園

川崎市日本民家園

囲炉裏端での語り

囲炉裏端での語り

作田家住宅

作田家住宅

 川崎市日本民家園内の作田家住宅で行われた「遠野の語り」に参加した。
夕方4時45分、外は猛烈なカンカン照り。しかし17世紀後期建築の九十九里の網元の家は広くて暗くて風通しがすこぶる良い。格子戸の外の緑が輝くように明るく、かん高いひぐらしの声が盛んに聞こえた。客は老若男女60人余り。浴衣の若い女性、じんべえの男の子が混じっていた。
「遠野の語り」とは岩手県遠野に伝わる民話を遠野の方言で語るものである。
語り部は大平(おおだいら)悦子さん。岩手県遠野のご出身で川崎市在住の方。
ヤサシィ遠野のコドバとカダリは昔懐かしい幻想の世界にいざなってくれた。

まず、手遊び歌「ごまだんご」を全員でやって聞く態勢を整えた。
[ごまだんご、一つと四つで五(ご)まだんご]「ごまだんご、二つと三つで五まだんご」・・・「ごまだんご、五つと五つでごま万十」となる。足し算歌だ。
第1話 オッカナクテ、オガスクテ、カワイソォーナハナス。
平和な村に怖い鬼が来て脅かすがあっけなく頓死するというとっても短い話。
第2話 おどろかの狐の話。 だました狐にだまされて沼に落ちた男の話。
ピチャピチャと迫る音におびえて木の上に上にと逃げるくだりは真に迫まる。
第3話 ネズミの伊勢参り。途中聞き手は、ネズミが水に潜る仕草をまねる。
頭、体、しっぽまで何度も。
第4話 カチカチ山。こんなに残酷な話だったとは!!! 
バサマがタヌキに殺されてウサギによる敵討ちの話。
以上、話の終わりは「どんどはれ」でしめる。
おしまいは、宮前区上作延の「縛られ松」を標準語で。
村人たちが病死の巡礼を弔って植えた松は大木となり聖松と呼ばれたが寂しかった。満月の晩、向う山の仲間のところに飛んで行って月見をして以来、大風を巻き起こして毎晩飛んで行った。子供たちが次々に病気になり原因は松の飛行の大風である事がわかり村人たちは松を縄でしばった。すると子供たちの病気は治り、その後子供の守り神とはやされ松は寂しくなくなったとさ。
大きな松が空を飛んでいく絵をみせながらの話は童心に帰させてくれる。
★ 縛られ松は、向が丘遊園から梶ヶ谷行バス路線のバス停「縛られ松」に枯れて現存する。

日本民家園の「遠野の語り」は2カ月に1回行なわれている。
次回は10月20日(日)1:30からと2:30から30分間。
勝野井 央子
シニアリポーターの感想

遠野の言葉はなんて優しいのだろう。昔話や絵本はいくつになっても楽しい。
それを昔懐かしい囲炉裏端で語って下さるのだ。とてもぜいたくな時間を過ごさせて下さって有難うございました。