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生物多様性をもっと知って、もっと活動しよう

取材日 2012年10月14日(日)

講師の常富師
講師の常富師
講演を聴く参加者
講演を聴く参加者

「生物多様性」という言葉を聞いたことがありますか?我が国では1990年代後半から良く使われるようになった言葉です。
 しかし、2004年度に環境省が行った調査では、「生物多様性」の意味を知っている人は約10%、言葉を聞いたことがある人まで範囲を広げても約30%という結果だ。
川崎市環境局主催の「生物多様性について知ろう」フォーラムを取材した。
本フォーラムの狙いについて川崎市環境局環境調整課課長補佐木村氏は「生物多様性について、多くの人に知ってもらい、日頃行動していることが生物多様性の保全につながっている事を知る機会としたい」と語った。
第1部は「生物多様性:日頃の生活や活動との関わり」と題して、環境省・生物多様性施策推進室室長補佐の常富 豊氏の講演があった。
「生物多様性」とは生物多様性条約で定義されているがわかりにくい。少しわかりやすく定義すると「ある地域における遺伝子、種、生態系の総体」である。総体とは、「ある地域における個体(群)・種・生態系及びそれらの相互のつながり(食物、生息・繁殖空間、寄生・共生関係等々)の全体」。
絶滅危惧種という言葉をよく耳にする。絶滅が危惧される生物種のことである。地域のあらゆる種を把握して保全することは理想であるが現実的ではない。
「生物多様性の保全」とは「ある地域に存在する生き物たちが、もともと生きてきた場所で、健全に、互いに関係しあって一緒に生き続けていられる状態を守る」ことだ。動物園で保護・飼育されるような姿ではなく、トキの野生復帰に向けた取組みがその一例である。
すべての生物は多様な生態系の中でコミュニティーを形成しながら相互依存的に生息する。また依存なく生存できる生物種は皆無である。生態系の破壊によって種の多様性は喪失する。熱帯雨林の伐採など最たる例である。
ヒトの生活に、「自然の恵み」、「生き物の恵み」でないものがあるだろうか。現生物の恵みのみならず、過去の生き物の存在によってもたらされたものに囲まれ支えられている。(石油・セメントなど)
生物多様性を守るためには、まずは暮らしの中で生き物とのつながりを感じることが大切。水や空気はもちろん食べ物や着るものの材料、木材、薬の原料など、いろいろな生き物のおかげで、私たちは生きている。
私たちの生活は、自然と生き物からの恵みによって成り立っていることを、改めて認識することが重要だ。
私たちが行動していることで、生物多様性の保全につながっていることは多々ある。地産地消、エコ商品の購入、緑化活動、、川の環境保全、緑地保全、外来種対策、などなど
「生物多様性をもっと知って、もっと活動しよう」

第2部は「川崎市の生物多様性をとりまく状況について」川崎市環境局の話と生物多様性の保全に関する5件の取り組み事例が紹介された。
事例紹介1:水辺のある里山を守る会
事例紹介2:宮前ガーデニング倶楽部
事例紹介3:だいし水辺の学校
事例紹介4:梨の正果園
事例紹介5:日本電気株式会社の取り組み

展示物1

展示物1

展示物2

展示物2

秋山 勝行
シニアリポーターの感想

「生物多様性」という言葉を見聞きしていたが中身はほとんど理解していなかった。この講演会で理解しようと参加・取材してみた。
 「生物多様性」は一言で語るにはあまりにも幅広く具体的にイメージが掴みにくいものであったが、日常の生活の中で「生物多様性」について認識して行動してゆくことが大切なことを知った。
「生物多様性」という言葉が様々な場面でもっともっと露出していく工夫も必要と感じた。

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