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3月と11月に大彗星が接近

取材日 2013年03月16日(土)

子どもから大人まで天文ファンが集まった

子どもから大人まで天文ファンが集まった

渡部教授(左)と科学館の國司氏

渡部教授(左)と科学館の國司氏

科学館の「かわさきぷりん」がお出迎え

科学館の「かわさきぷりん」がお出迎え

 今年は、大きな彗星を2つ見ることができる。ちょうど今(3月中旬~4月上旬)観察できる「パンスターズ彗星」と、11~12月にかけての「アイソン彗星」だ。
 この話題の彗星や宇宙についての講演が、3月16日、多摩市民館で行われた。多摩区制40周年の記念講演会で、講師は国立天文台副台長の渡部潤一教授。多摩区役所とかわさき宙と緑の科学館の共催で、会場には親子連れなど天文ファン400名あまりが集まった。
 渡部教授は、流星や彗星など太陽系天体研究の専門家で、テレビや新聞に度々登場している。昨年5月の「金環日食」はNHKのスタジオ内で解説していたため、直に見ることができなかったと、会場の笑いを誘った。彗星や天体の写真、動画、シミュレーション画像をスクリーンに映しながら、ジョークを交えた軽妙なトークで宇宙の謎をやさしく解き明かしていく。
 彗星の本体は、小惑星のような岩の塊、砂粒の集まりでなく、水や二酸化炭素などの氷で、もやっとしている。氷と砂粒が一緒に含まれているので「汚れた雪だるま」ともいい、太陽に近づいて熱を浴びると氷が解けて、ガスが噴き出してくる。太陽風によってその一部が青白い「イオンの尾」と、砂粒が太陽からの光の圧力を受けて反対側に白く輝いてなびく「塵の尾」の二種類の尾ができる。ほうき星の別名は尾がたなびくことからきている。
 有名なハレー彗星は、76年ごとに戻ってくるが、今年の2つの彗星は、太陽から遠ざかったらもう二度と戻ってこない。「パンスターズ彗星」は、3月中は西の地平線に日没後30分、角度10度にある。手を伸ばして拳を握った小指と親指の間が10度だ。3月末から4月上旬は明け方の北の空になる。「アイソン彗星」は、それ以上に期待のできる大型で、満月ほどの明るさがあると予測されている。12月5日ごろ、東の地平線、日の出前30分、尾が20度ぐらい伸びて、目ではっきり見えるという。
 最後に、「天文現象は、一期一会なので楽しんでほしい。宇宙は人間が見る世界としては、時間も空間も最も雄大なスケールの自然だ。広大な宇宙に想いを馳せながら、ぜひ夜空を眺めよう」とメッセージを贈ってくれた。
 講演後のQ&Aコーナーで、小学生からの「川崎でカノープスは見えますか」という質問に、「川崎でも見えます。真冬の南の空、赤い星を探してみて」。また「天文学に進むにはどんな勉強をすればよいですか」には、「算数と理科、ほかの勉強もおろそかにしないで」と、夢の実現に向けてエールを送った。
渡部潤一教授の出演予定 NHK Eテレ 3/24(日)23:30~0:00 「サイエンスZERO 接近中! “巨大彗星”」
■問い合わせ 多摩市民館 電話044-935-3333
取材同伴者名:佐藤政孝
荒城秀雄
シニアリポーターの感想

昨年5月の「金環日食」は、素晴らしい天体ショーでした。今年は、紹介したように2度にわたって大きな彗星を見ることができるという。地平線からの角度が相当低いので、見えるポイントは限られてしまうだろう。「パンスターズ彗星を見つけようキャンペーン」(http://pan.astro-campaign.jp/index.html)を参考にして探してみてはいかがでしよう。

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