集合場所は、想像以上の人出だった。ここ新二子橋河川敷(高津・宮前区の担当)だけで39団体3500人が集まった。区ごとに担当地域があり、全5個所では1万数千人に上ると言う。個人の参加もあるが、多くは団体で、色とりどりのノボリやプラカードを先頭に集まっている。「町内会」「子供会」「少年野球チーム」「歩こう会」「ボーイスカウト」「企業」etc様々だ。家族連れも目立ち、楽しみながらの美化活動といった雰囲気がある。
35年目のクリーン作戦
この美化活動、年1回で既に35年も続いている。高度経済成長や周辺の人口増大で多摩川も汚れ、危機感を抱いた国交省の音頭取りに自治体が応え「多摩川クリーン作戦」が始められた。かつては不法投棄が多く古タイヤが40~50本もまとめて捨てられたり、鉄骨が何百本もということもあった。今は河川敷も草が刈られ整備されたせいか、あまり目立たないが、土手や川べりの草で覆われたところや川の中には、やはり多くのゴミが隠れている。美化活動1日で集められる数量は、毎年10トンにも及ぶとの説明を受ける。
目立つ不法投棄
秋岡正充・高津区長、九地第一町会長・瀧村治雄さんの挨拶の後、ボーイスカウト・ガールスカウトの開始宣言で、美化活動がスタートした。受付で渡された軍手とごみ袋を手に、上流と下流に分かれて拾い集めていく。随所に設置された集積所に、分別しながらごみを集める。悲しいかな、目立ったのは不法投棄された粗大ごみであった。「僕、余り拾えなかった」という声に、両親は「でも頑張って偉かったよ」と応える。
レスキュー隊による溺者救助訓練
水難事故の増え始める時期でもあり、今年もこの日に合わせ、川崎市消防署による「溺者救助訓練」がおこなわれた。ハイライトはヘリコプター「そよかぜ1号」を使ったレスキュー隊の救出活動である。川崎市全体の水難救助出場件数は昨年で31件、今年もすでに14件に上ると言う。おかげで多くの人命が救われた。
支川の汚染を取り除け
水自体を浄化しようと、多摩川には4か所の「河川内浄化施設」があり、近くは「平瀬川浄化施設」と「野川浄化施設」がある。「礫間(れきかん)接触酸化法」といって、小石のあいだに汚れ物質を沈め、取り込むという方法だ。こうして支川からの汚染を取り除いている。
クリーン作戦のおかげで多摩川は生気を取り戻し、野鳥も増え、多くの人達の憩いの場となっている。35年に渡る地道な努力を次の世代に託していく、そんな決意が親子連れの参加者から伝わってきた1日であった。
川の中から引き上げる
不法投棄が目立つ
溺者救助訓練
私が小さい時はプールも少なく、よく多摩川の上流で泳いだ思い出がある。しかし徐々に汚れが目立つようになり、さらに上流に行かなければ泳げなくなった。やがて川は下水へと変貌し「公害」が社会問題となった。確かにその頃よりは浄化も進んだが、もっともっときれいな多摩川を、孫の世代には残してやりたいものである。