東横病院
満員の講座風景
分かり易いテキスト
聖マリアンナ医科大学東横病院では、川崎市との連携事業として、原則月に一度「健康に関する公開講座」を開催している。今回は「熱中症対策」について心臓病センターの田中修医長の講演があった。後半には「健康づくりと運動習慣」をテーマに、リハビリテーション室の新渡戸沙都理学療法士の講演と運動指導があった。参加者は高齢者が多く、男女は半々。100席程の会場はほぼ満席だった。
熱中症、高齢者は家が怖い
今年の熱中症による救急搬送は去年の3倍だという。児童の熱中症集団発生ニュースが、毎日のように報道されていた。その殆どが屋外での運動中だった。ところが高齢者は家での発症が過半数だという。高齢者は暑さを感じにくく、汗もかきにくい。体温を下げるための体の反応が弱くなっており、自覚が無いのに熱中症になる危険があるとのこと。エアコンを活用し温度・湿度を適切に下げることが大事だ。また喉の渇きも感じにくくなっているので、スポーツドリンク等で、こまめに水分・塩分(ナトリウム)を補給したい。血圧が高いのだが、スポーツドリンクを飲んでも大丈夫か?という問いに「過度に摂らなければ大丈夫。水・麦茶などと併用して摂ることが大事です。」とのこと。めまい・頭痛・吐き気などのサインを見落とさないようにしたい。
一日寝込むと一歳分おとろえる
歩くだけが精いっぱいの筋力では、いったん寝込むと起き上がれなくなる。予防のためにも30%以上の筋力の余裕が欲しい。1日1万歩は歩きたいが、無理はせず毎日の歩数の記録を付け、プラス500でも1000でも増やすことが大事だ。1日20分以上の運動習慣が望ましいが、何回かに分けても効果は充分あると言う。また80歳でも90歳でもトレーニングにより筋力はついてくるとのこと。
筋トレとストレッチをバランスよく
歩行等の日常動作を支えるため、筋力を高める必要がある。腹筋運動やスクワットが代表的だ。その他、第二の心臓といわれるふくらはぎの筋力を高めるため、つま先立ちが効果的だ。さらに、つまずき防止にはカカト立ちが有効、安全のため何かにつかまりながら、いずれも背筋・ヒザを伸ばし5秒止まってからゆっくり戻すといい。1日15回を毎日続けたい。
そして大事なのがストレッチだ。筋トレやウォーキングの前にも後にもストレッチを忘れてはならない。特に太ももの裏・アキレス腱を伸ばし柔らかく保つことが大事である。
今後の講演予定は東横病院ホームページでhttp://www.marianna-u.ac.jp/toyoko/(参加無料・先着順)
身近に健康を害する人が増えてくると、運動の重要性について考えさせられる。しかしスポーツから遠ざかっていると、なかなか切っ掛けがつかめない。その点、この健康講座で勧められた運動は、誰でも安全に始められる。参加者も一緒に体を動かしているうちに、自然と体も会場の雰囲気もほぐれ、あちこちで会話や笑い声が広がる。年をとっても運動は心と体に心地良いものだ。