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野川の民話を選りすぐり語る

取材日 2013年09月28日(土)

朗読をする合田ケイ子さん
朗読をする合田ケイ子さん
熱演するちんじゅの森のメンバー達
熱演するちんじゅの森のメンバー達

(影向寺)

 9月28日第2回の親子で楽しむ民話語りの会を、影向寺で開催すると主催者代表の青木さんから連絡を受けた。影向寺は300年以上の歴史があり、国指定の重文・薬師如来両脇像などを所有する由緒あるお寺である。多摩川の広大な沖積低地を望む宮前区野川東耕地の高台に、威徳山影向寺(ようごうじ)があると、川崎市教育委員会の解説にもあった。午後5時耳を澄ませば虫の音、辺りは日没に向かって語りにふさわしい雰囲気がかもし出され語りの舞台は出来てきた。いよいよ、民話の朗読の始まりだ。

 

(影向寺にまつわる民話の朗読)

川崎の野川の影向寺にまつわる民話を選りすぐって合田ケイ子さんが朗読をするという。合田さんは、自由劇場や劇団で活躍後、子育てを終えて演劇活動に復帰、普段は演劇を中心に公演を行なうかたわら、朗読も行なっている。今回は、「昔むかし、影向寺と橘を結ぶ二つの坂の一つ、井戸坂に出るムジナの話。それは、近所のお銀という娘に井戸坂のムジナが化けて、駒沢まで出かけ、夕暮れ過ぎに帰る途中の太郎衛に会うお話」と、「影向寺から五里程はなれた乳が出ない小倉の女が、影向寺の薬師如来のお告げで、影向寺の大きな銀杏の樹の気根(銀杏の乳)を煎じて飲んでお乳が授かったお話」の2話だった。劇団所属の合田さんの朗読は、出てくるセリフにあわせ、太い声、甲高い声、抑揚、メリハリもよく、そのセリフと語りの巧みさでまざまざと画面が脳裏に出てきて、言葉のちからは凄いなあと、前の席に座ってた初老の奥さんも感心していた。ざっと数えると120名ほど集まってたか、みんな息を呑んで合田さんの話に聞き入っていた。合田さんの朗読は去年からのようで、今会で2回目だそうだ。みんな、民話を聞きに来てほっこりしたのではないだろうか。

 

(民話の語り)

合田さんの朗読のあとは、今度は少し変わって、お寺の壇上で寸劇入りの民話の語りという趣向だ。演じてくれるのはNPOちんじゅの森のメンバー。2人が語り、2人が音楽製作、音響と4人で民話を表現するという演目は、おなじみの桃太郎と三枚のお札。三枚のお札は、小坊主がどうしても鬼ばばあの出る山に栗拾いに行くと言うので、和尚がお守りに三枚の札を持たせ、小坊主を守りきり、最後に和尚が鬼ばばあを騙して、豆粒にして飲み込み、そのウンコからハエが沢山わいて国中にハエが広まった、という逸話。

お二人の語りと演劇、効果音、演出された音楽などまことに寸劇をはるかに超えていて、あっという間の30数分だった。

 

(メ モ)

・影向寺;216-0001 神奈川県川崎市宮前区野川419  ・NPOちんじゅの森;http://www.chinjyu-no-mori.or.jp/index.html

・主催:宮前第一地区社会福祉協議会

民話の影向寺の乳銀杏(ちちいちょう)

民話の影向寺の乳銀杏(ちちいちょう)

威徳山 影向寺(ようごうじ)

威徳山 影向寺(ようごうじ)

民話に聴き入る親子たち

民話に聴き入る親子たち

宮前区 影向寺(ようごうじ)境内
宮島 賢治
シニアリポーターの感想

 川崎の民話を語る会があると聞いて、早速調べたら「影向寺の乳銀杏」と「権六谷戸」、「不知火の松」、「鐘突き堂を守ったカニ」などがある。民話かア、とおもって、影向寺の境内に行った、そこで語られた民話は、言葉という素晴らしい文化で、芸術をかもし出していた。とにかく、よかった。また来年も来よう。

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