終活とは、人生の終末期に向けて意識的に準備する活動を指す造語という。
当初は葬儀等が主だったが、相続や成年後見制度と対象が広がり、さらに今年7月には専門雑誌まで創刊とちょっとしたブームである。映画「エンディングノート」でも、「わたくし、終活に大忙し!」がサブタイトルだった。
●高校の開放講座で「終活が」
8月27日~31日に川崎市立商業高校で終活講座が開催された。主な内容は「介護・医療の現場では」「理想的な終末期を考える」等である。
講師は同校の横田智子先生、看護師・助産師として大学病院等に勤務後、社会福祉士取得という経歴の持ち主である。「終活とは、あの世への生き方」と明快に言い切り、横田先生の講座が始まった。
受講者は16人、大半はシニア層だが、少数の介護職や保険会社社員もいた。「誰にも迷惑を掛けずに逝きたい」「終活を学びたい」等が参加動機という。
●医療現場では
(1)インフォームド・コンセント(説明に基ずく同意) 日本では、医師が説明し、多くはその場で同意する。しかし欧米では、医師が根拠に基ずいた診断や治療法を説明し、患者は帰宅して熟慮後、自らの意思で治療法を選ぶのが一般的という。
(2)余命宣告は統計に基ずく説明なので、あくまで目安と考えること。
(3)事前に患者が延命措置を拒否しても、希望通りになりにくいのが現状という。
●実習 エンディングノート
エンディングノートには、法的効果もないが、書式や手続きは自由、日頃の思いや希望も書ける、遺族への覚え書きという。早速手作りのエンディングノート「いざという時のために」へ記載した。パソコンが衝立代わりになった教室で、自分自身との対話が始まった。
●理想的な終末期を考える
(1)遺品整理
今の自分にとって大切と思われる物も、遺族にとって遺品は単なるゴミ!と心得ること。身内の家と遺品整理で約200万円出費した経験から、今日からできる身近な終活として、身辺整理を少しずつ始めるよう助言した。
(2)明日から考えるこれからのこと
近年、臨終を迎える場所は、8割が病院という。入院先の医師から、親族が聞かれるのは、延命措置や延命治療である。患者からの希望がないと親族にとっては苦渋の選択になる。横田先生は「あなたは最後までどう生きたいのか」と受講者に問いかけ、講座は終了した。
5分休みに教壇に集まり、先生とおしゃべり
かわいいイラストがいっぱい!先生手作りのエンディングノート
パソコン操作中でも、早口は止まらない
あとがき
平均年齢70歳、最高92歳の受講生が終活を4日間学んだ。最後まで縁起でもないという言葉を聞かず、時代の変化を実感した。「誰にも迷惑を掛けずに逝く事はできないが、家族の負担を少しでも軽減することは可能」と学んだ。別の講座で「家族には患者の命綱を切れない」と伺い、延命治療中の母と重なり、救われた。今後も終活を注目していきたい。(吉川 眞沙美)