10月29日、川崎・幸・中原の区民を対象に「地産地消体験バスツアー」が開催された。25名の参加者が、サツマイモ堀り・セレサモス・農場見学等を体験学習した。主催者であるかわさき地産地消推進協議会の資料によると「地域資源を活かしながら、農業を中心とした地域振興と市民に農環境とのふれ合いを提供する場づくりを市は推進している」とのこと。
雨のサツマイモ掘り
出発してまもなく雨になり、「イモ堀りできるかねぇ~」と心配する声もあった。1時間後に到着した黒川東観光農園で、小雨の中レインコートを着用しイモ堀りが始まった。畑の畝に1列に並び、軍手で土をかき出すが、イモはビクともしない。私はそれでもなんとか大小8本のサツマイモを収穫した。
セレサモス
平成20年にオープンしたセレサモスは、川崎市内最大規模の農産物直売所である。桐生店長によると、販売量は1日平均1万4千点で、近隣農家の直接搬入が4割、宮前区の中間集荷場からJA専用車による間接搬入が6割とのこと。
時々マスコミの取材で「大型台風等の影響で、一部の野菜が高騰しているのに、なぜセレサモスは安いのか?」と聞かれるが「登録生産者が、野菜の規格と値段を決定するからでは」と答えるそうだ。
店内でも「新鮮だし、安いねぇ~」と、朝採り野菜をカゴに入れる人、近所や子供用にと1パック300円の卵を3パック購入した人や、梨入り焼肉のたれを何本も購入した人達がバスに戻ってきた。
黒川農場のサラダほうれん草
平成24年に開設した明治大学実習農場を、農学部4年生松本君の案内で見学した。サラダほうれん草を水耕栽培する温室前で、「無農薬栽培でくせも無い。露地物の半分の20日間で出荷でき、通年セレサモスで販売中」との説明に,「先に言ってよ~」と残念がる声が挙った。
帰路の車内で、川崎市農業振興課の担当者から「この周辺は、古くから薪炭林としてクヌギやコナラなどを植林し、江戸市中に薪や炭を供給していた。最近は川崎最北端である里山周辺を、リュック姿で歩く人々が増えた」という。
参加者の感想で「地産地消に興味があり参加したが、普段の買い物で『かわさきそだち』を見たことが無い」「数年前から農業ボランティアをしているので、地元川崎でも農業ボランティアをしたい」等の声があった。他方、「前回参加したときより参加費が上がったが、どこが良くなったのかわからない」との声もあった。
新鮮だからよく売れる(農業振興課提供)
黒川農場の見学(農業振興課提供)
かわさきそだちの菜花ちゃん
体験学習は大人でも面白いと思った。実際に触れたフカフカした畑土にまず感動!芋ずる式に抜けたイモ堀りは爽快だった。セレサモスの食育ソムリエ圓山さんから「のらぼう菜などの菜花は、トウが立つ頃が一番おいしい」と聞き、来春の楽しみが増えた。
今回1番の収穫は、思いがけない里山風景だった。今では珍しくなった稲の稲架掛け(はさかけ)も見られた。身近な川崎遺産としていつ迄も残して欲しい地域環境を、スニーカーでのんびり歩いてみたい。
(吉川 眞沙美)