骨粗鬆症の骨
正常な骨
講座会場
2012年8月にオープンした新百合ヶ丘総合病院では、週1~2回のペースで1時間の医学健康講座(無料)を開催している。今日のテーマは骨折の原因となる「骨粗鬆症」。講師は当病院整形外科医の別府保男先生。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
最近注目され略称「ロコモ」と呼ばれている。身体を動かすのに必要な器官(骨・関節・筋肉・神経)に障害が起こることにより、運動能力が低下し寝たきりや介護が必要になるリスクが高い諸症状で、代表的な要因の一つが「骨粗鬆症」だ。
日本人の平均寿命(2013年:女性87歳、男性80歳)は年々伸びているが、健康上の問題がない状態で日常生活が送れる「健康寿命」は寿命よりは10年は短いそうだ。
骨粗鬆症とは
女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏・加齢・生活習慣病による骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患。骨がスカスカの状態になり非常にもろくなる。患者の9割近くは女性だ。女性は50~60歳ごろ男性は65歳ごろから骨密度の低下がみられる。
怖い骨折
骨粗鬆症で怖いのが骨折だ。高齢者は背骨、大腿骨、手首(転んだ時手を着く)の骨折が大半だそうだ。骨折をすると介護が必要になったり寝たきり状態になったりするリスクが大きい。
骨折の3分の1は転んだ、ぶつかった等で自覚があるが、残りの3分の2は骨折していること自体に気が付かない、脆弱性骨折と言われるものである。20歳代より4cm以上背丈が縮んでいる場合は背骨の骨折が疑われるので検査が必要だ。
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症の予防は食事と運動で骨強度の低下を防ぐことだ。
*食事 カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取(吸収を良くするため陽にあたる)
*運動 筋肉や骨に適度な負荷をかける(片足立ち、ウォーキング、ジョギング、ストレッチ)
骨粗鬆症は薬で治る
骨粗鬆症は怖くない。別府先生は「骨粗鬆症は薬で治ります」と強調。 宇宙飛行士も飲んでいる骨粗鬆症の薬、無重力状態では骨や筋肉を使わず弱くなるためだ。まずは早期の治療を受け症状に応じた薬を処方してもらい、怖い骨折のリスクを軽減することが大切だ。そうすれば健康寿命を延ばし、イキイキした人生を送ることができる。
*骨の写真提供:新百合ヶ丘総合病院