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59%と云う高効率を実現した川崎火力発電所見学記

取材日 2014年02月14日(金)

川崎火力発電所全景(パネルより)
川崎火力発電所全景(パネルより)
高効率発電機全貌(2-1軸 4号機)
高効率発電機全貌(2-1軸 4号機)

(見学会参加の動機)

市政だよりで募集していた川崎発・最先端のエコ技術に触れる見学会に参加した。川崎火力発電所の見学は、3年前に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、「当面の間一般の見学を中止している」との中での特別な見学会なので、期待を胸に参加した。

 

(天然ガスによる発電)

見学会は、川崎駅改札口に集合、市の用意したマイクロバスで川崎臨海方面に向かった。今回の見学コースには、港湾局の巡視船つばめで、川崎の臨海部を廻る予定があったが、生憎の二週続きの悪天候でエコ暮らし未来館の見学に代わった。エコ暮らし未来館の見学後、川崎マリエンへ移動し、展望台での昼食後、いよいよ川崎火力発電所の見学となった。バスは、千鳥町の川崎発電所に向かった。発電所は広大な千鳥町の一角にあった。見学は、広報の方のスライドとビデオの説明の後、中央管理室を窓越しに覗き込み、「少人数で監視・操作業務を行っている」との説明のあと、ヘルメットを着用しいよいよ、高効率発電機との遭遇である。

大きな空間に案内された、そこには、一軸(一基)にガスタービン、高中圧蒸気タービン、低圧蒸気タービンそして発電機から構成される発電システムが三軸、メンテナンスアリアを挟んでもう一軸4軸の巨艦のような大型発電機が並んでいた。50年前に川崎に就職した時見たあの熱い・轟音の中の火力発電とは大違い、音は静かだし、綺麗で唖然とした。

この発電所は、天然ガスを燃料とする発電で、実際には圧縮空気と天然ガスによりガスタービンで発電するとともに、その排ガスの熱を排熱回収ボイラーで蒸気として回収し、蒸気タービンでも発電を行なう事による“コンバインドサイクル(MACC)”という発電方式をとっていて、熱効率が59%(汽力発電方式40%程度)と高く、しかも、発電を終えた蒸気は、近くの千鳥町・夜光地区のコンビナート内10社に対して蒸気供給も行なっている。川崎火力発電所の発電機は、20092月に1号系列全軸が運転を開始、20132月に2号系列第1軸が運転を開始し、全4基稼動中、という。

また、MACCは、一軸で1500℃という高温の燃焼ガスによるガスタービン発電と蒸気による蒸気タービン発電のダブル発電で熱効率約59%(LHV)を達成している事。従来の蒸気利用の汽力発電方式と比べ、燃料使用量・二酸化炭素排出量ともに約25%の削減を達成した新しい発電方式だという。現在4基・200kWの発電を行っており、更に、28年度に1基、29年度に1基は、更に最新鋭のMACCⅡでは1600℃級コンバインドサイクル発電で熱効率焼く61%「を目指すとのことなどが説明もされた。

高津区からの御夫婦での参加者から、地震や津波の対策はどうか、また、宮前区からの参加者から大型プラントの供給・設置の会社は、1社だけかなどの質問があった。耐震工事は計画通り進めており、津波も神奈川県想定の対策は行っているとの回答があった。大形発電機は、もう一社米国の会社がある、と回答があった。屋外にある排熱回収ボイラは、二分割された状態で運ばれるとのことで近づいてカメラに収めた。

排熱回収ボイラ(屋外)

排熱回収ボイラ(屋外)

高効率発電機の前で説明を聞く同行者

高効率発電機の前で説明を聞く同行者

ガスタービンの内部構造(パンフレットより)

ガスタービンの内部構造(パンフレットより)

川崎区千鳥町 川崎火力発電所
宮島 賢治
シニアリポーターの感想

 1500℃の蒸気というと、鋳鉄の熔解温度が1200℃であるから温度からしても高い技術が蓄積された発電機だと推察できた。発電機の音と言え、温度と云え、50年前の火力発電とは別物、排熱を利用した千鳥・夜光地区への共同事業、LNGを燃料とすることで硫黄酸化物も出ない、排気も排水も最新技術採用で問題なく、正に、環境技術の最たるものと絶賛した。

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