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- 大震災の被害状況を語る写真展
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- 破壊された大槌町役場
平成23年8月1日~5日まで、麻生区役所のロビーで開かれた、
~津波に襲われた町「岩手県大槌町、山田町」~と題した写真パネル展を、8月4日に取材した。
主催者は、
NPO法人二沢会。この会は発足から一年半になるが、麻生区を基盤にして、在宅高齢者への配食活動を行っている。会の名称の「二沢」とは、「宮沢賢治」と「福沢諭吉」の二人の「沢」を採ったもので、賢人の想いを活動の指針にしているとのこと。
今回の写真展の撮影者は、共同開催の「療育ネットワークかわさき」の会員でカメラマンでもある川上靖雅さん。以前からたびたびふる里の親族を見舞っていたが、その時に地震と津波に遭遇し、以来、ふる里を訪れる都度、被災地の状況をカメラに収めてきたが、
この悲惨な状況を風化させてはいけないとの想いで拡大写真を作成し、川崎市民等に提供することにより被災地支援の輪が広がり、その一助にでもなればと開催に協力している。
展示された写真は実に生々しく、テレビや新聞などでは幾度となく目にしたものもあるが、大判の生写真で見ると細かい所までがハッキリと識別でき、その惨たらしさは想像を絶する程である。
大版写真の一角を良く見ると、
僅かなスペースに何台もの車が折り重なり、そのすぐ上には漁船が見えるという有り得ない光景が広がっている。
破壊された街を茫然と見つめる人の姿、アメのように壊れて曲がった電柱、骨組みだけになったガソリンスタンド、悲惨な光景が跡を絶たない。
震災から5ヶ月を過ぎた現在でも、このような光景があちこちに見られて、復興の進まない状況を見せつけているようだ。
ある写真では、同じ場所の震災直後と4ヶ月後の状況が記録されていて、ガレキを片づけて営業を再開した店舗が見られるが、すぐ後ろにはまだ山のようなガレキが見える。一方では、少し整備されたグラウンドで遊ぶ子どもたちの姿もあり、少しずつ人々の営みが戻ってきている事を感じさせてくれる。空には大きく翻る鯉のぼりが泳ぎ、ホッとした気持ちになる。
「被災地にエールを届けよう」と書かれたパネルには、写真展を見に来た人たちが、それぞれの想いを短冊に綴っていた。中には親族が現地で被災した人がこられて、パネルにじっと見入っていたが、短冊を書く気にはなれないとその場を去って行かれた。
写真展の案内は、二沢会会員が交替で行なっていたが、取材日は介護ヘルパーで会員の伊藤金政さん。「現地への義援金がなかなか被災された方々の手元まで届かないそうで、何とかしてほしいというもどかしい思いがする。早く復興が進むことを願っています」と語っていた。
このパネル展は、他でも数か所で催されていたが、今後の予定は今のところ無いとのこと。展示された他にも大量の貴重な画像があるそうなので、ネットで見られるようになればと思う。