平成26年8月20日、高津区保健福祉センター主催のいきいき食生活講座「精進料理から学ぶ・心と体にやさしい食事」のタイトルに魅せられて、普段と違ったお坊さんのお話を取材した。
講師は、大本山總持寺の典座老師(てんぞろうし、総料理長)で、講演は精進料理の心を説く一部と、具体的な料理メニューを紹介する二部から構成されていた。
精進料理のつくり手と戴き手のこころ
第一部では、精進料理の生い立ちは、禅宗の祖である道元禅師が中国で修行中に昆布と椎茸を煮ている老僧に出会い声を掛けた際、「これ、即ち料理も修業」と言われたことに端を発している。
道元禅師が記した「典座教訓」の三心(喜心、老心、大心)をもって、日常のメニューを考え、食材を準備し、調理、配膳、接待、洗い物をする事を修行の場としていると典座は説く。
他方、典座が調理した食事を戴く際の修行僧の心得である赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)の五観の偈(ごかんのげ)とは、
1.感謝の心
2.自らが食する価値があるかを反省する心
3.貪り、怒り、妬みを抑える心
4.命を繋ぐ為の食事
5.修行の為、仏にお仕えする為の食事
を記したものである。
精進料理では、食材は自分の眼と想って心から大切にし、すべてを無駄なく調理するとされ、食事を戴く際にお経を上げ、9回拝をして戴く。調理を初めとして食事をする事までの全ての所作が修行の一環であることを紹介された。
精進料理の美味しさのポイントとは?
第二部では、精進料理のレシピと作り方が画像とホワイトボードを使って紹介された。
精進料理では、・煮きり(酒とみりん同量を煮きる万能調味料)を使うこと、・下味をつけること、・出し汁はやや濃い目にとり、塩分を控えめとする事が美味しさのポイントであることを教えていただいた。又、胡麻豆腐、揚げナスの山かけ、冬瓜と厚揚げの煮物、車麩フライ、豆腐アイス等のレシピと作り方の紹介があった。
因みに、紹介された胡麻豆腐の分量は30人分であり、会場からの分量が多すぎませんかという質問に対し、沢山作ってご近所さんへお裾分けする心をもたれては如何でしょうかとのコメントがあった。