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大人の社会見学「水の旅2」

取材日 2014年08月06日(水)

波がうねる東扇島東公園は快晴だった
波がうねる東扇島東公園は快晴だった
見学前の打ち合わせ。入江崎水処理センターの巨大な導水管前で
見学前の打ち合わせ。入江崎水処理センターの巨大な導水管前で

 8月1日に続き、6日も川崎市環境局の「水環境体験ツアー」に参加した。今回は使用済みの水処理と、放流する東京湾の現状を見学し、水処理センターでは微生物を使った新しい処理方法、環境総合研究所ではアサリの浄化能力を学んだ。当日、東京・神奈川・千葉の各都県による東京湾環境一斉調査日だったが、
強風で順延になり、乗船も含めた調査の見学中止との報告に、バス車内は大きなため息が漏れた。

●今年は多摩川に過去最大数のアユが遡上! 8月1日号の市政だよりで「・・下水処理などが進んで水がきれいになった」と掲載された。市内では、麻生・等々力・加瀬・入江崎の水処理センターが稼動中だが、今回は川崎区の入江崎水処理センターを見学した。

Q:川崎市で1年間に処理する水は東京ドーム何杯分か? ちなみに1杯125万トン
   ア250杯、イ160杯、ウ90杯                A:160杯

・入江崎水処理センター 西系高度処理施設
 高度処理とは、「従来の有機物除去に加え、東京湾の赤潮の原因になる窒素とりんも除去。タンクに投入した担体(5ミリの管状プラスチック)に微生物を保持させると、処理時間が短縮する」(配布資料より)。滞留時間は20時間。最後に滅菌処理された水は東京湾に放流される。
 担当者の案内で、階段を上り下りしながら、建物内にある巨大な導水管や床下に処理槽があるフロアー等を見学した。臭気はほとんど無い。

Q:下水道に流入する水はBODが約200mg/Lですが、処理後に放流する水はどの程度か?
   ア20mg/L、イ10mg/L ウ5mg/L              A:5mg/L  
                     (因みに入江崎西系は1.4mg/L)
訳注:BODは、水の汚染を表す指標で、数値が大きいほど水質が悪い。


●アサリの棲息は、東京湾の環境のバロメーターの一つ
 東京湾に面した東扇島東公園内に「かわさきの浜」がある。炎天下の海岸を約40分歩き回り、底質(泥温)測定や浪打ち際で採取したカニ・アサリ・アオサ等を見学した。「緑潮」の原因となるアオサを撲滅するため、DNA鑑定で種別を特定中で、食用のアオサとは別品種。
「かわさきの浜」は、平成20年に完成した人工海浜。川崎に50年ぶりに復活した海岸は、天然のアサリが採れると話題になった。
 
・環境総合研究所  午後の講義で、講師が濁ったビーカー内の水にアサリを投じたが、24時間後に濁った水が澄んだ水になるという。アサリなどの二枚貝には「赤潮」の原因となるプランクトンを減少させる機能があり、まさに天然の浄化装置である。
 冒頭に触れた東京湾環境一斉調査で、東京湾の環境の変化を期待したい。 

床下の槽から処理水を汲みあげ、説明する

床下の槽から処理水を汲みあげ、説明する

波打ち際の調査を説明する。近くに海遊びに興じる子ども達

波打ち際の調査を説明する。近くに海遊びに興じる子ども達

浜の小さな住人たち

浜の小さな住人たち

入江崎水処理センター、東扇島東公園、環境総合研究所、川崎マリエン
吉川 眞沙美
シニアリポーターの感想

感 想
 浄水場や水処理センターの場所さえ知らず、どんな施設かと参加した。専門用語が難しく、記事をまとめる時、やむなく配布資料の一部を転用した。
 午後の講座で、放映された公害関連の「白い雲を返せ」で、中学生時代の社会見学を思い出した。昭和30年代、日中なのに工場地帯の空は夕焼け色。思わず後ろを振り向くと、川崎駅方面は青空だった。多摩川はいつも洗剤の泡が舞っていた。今は平成26年、多摩川に最大数のアユが遡上し、今日の空はどこを向いても青空が広がっていた。改めて環境の大切さを実感した。

 吉川 眞沙美

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