
- 講義中の佐々木教授

- 津波の時系列波高(配布資料より)
7月22日(金)県立川崎図書館で
「サイエンスカフェ~津波の科学」が催された。
東日本大震災の後ということもあってか、40人の定員に対して220人以上の応募があり、最終的に50人近い参加者となった。参加者は男性シニアが多かったが、女性も7人ほど参加していた。
サイエンスカフェは、名前のとおり
「お茶を飲みながら、研究者と参加者が気軽に語り合える場」として横浜国大や県立川崎図書館などで開催されている。
今回のテーマは
「津波の科学~東日本大震災における津波の科学と減災に向けた街づくり~」と題して、横浜国大の佐々木教授を中心にした討論の場が設けられた。佐々木教授は、海岸工学・環境水工学が専門で、津波や高潮に対する予測や対策に取り組んでいる。
会場は参加者による討論が目的なので、参加者が6つのテーブルに分かれており、横浜国大のコーディネータやファシリテータが配置されていて、講義後の自由討議の中で潤滑油の役目を担っている。
初めに、県立川崎図書館の事務局と横浜国大の副学長の挨拶があり、佐々木教授の津波についての講義があった。スライドによる説明は、時間の制約もありやや早口であったが、豊富なデータに基づいたわかりやすい説明で理解しやすかった。
示されたデータには想像を超えるものも多く、今回の大津波が過去と比べてもかなり大きなものであったことが理解できた。この講義で改めて認識できたことが二つ。
・津波は、深いところでは、波高は小さいが進行速度が速い。浅いところでは逆に、進行速度は遅くなるが波高が大きくなる。(エネルギー保存則に則っています)
・更に一般の波は、表面だけが揺れており海底の水はあまり動かないが、津波は海底の水までが同時進行するので、あのような巨大なエネルギーを発揮する。
津波が大きな建造物をいとも簡単に押し流したり、大きな船をビルの屋上まで押し上げてしまう、強大なエネルギーの秘密はここにあった。
過去の津波の記録では、2004年のスマトラ島の津波の最も高くまで到達した高さ(遡上高)が48.9mで、東日本の津波が38.2mなので、ほぼ匹敵する大きさである。なお、特異な例としては、アラスカでの525mと言うのが有るそうだ。
東日本大震災の津波の最大の特徴は、釜石沖での第一波のピーク波高が極端に大きかったことだ。これが陸に近づくにつれて波高が大きくなったわけで、あの大災害をもたらした元凶である。
講義を聞いて、津波に遭遇したら何をするべきか・・・と考えたときに、老若男女問わず、
「とにかく高いところへ逃げること」これに尽きる。
続いてテーブル毎の討論。次第に話に熱が入り、予定の15分を少し超えたところで佐々木先生への質問タイム。各テーブルのファシリテータが質問を投げかける。
「普通の波と津波の違いを、子どもたちにどう説明するか・・・」これは高校の理科の先生の質問だった。「津波のエネルギーの単位は何か」など専門的な質問が続き、ユニークだったのは、「津波も波だから逆位相の波でキャンセルできないか」と言うもので、答えは「NO」であった。活発な質問が続いて終了となった。