
- 日米の4家族

- 男女の進行役
麻生区文化協会30周年記念事業の一環として演劇「
わが町しんゆり」が「
劇団わが町」によって上演された。麻生区在住の演出家
ふじたあさや氏が、米国劇作家ソーントン・ワイルダー原作の「
わがまち」を新百合ケ丘に置き換えたらどうなるか?と試みた作品である。米国ニューハンプシャ―州の架空の町グローヴァーズ・コーナーズと新百合ヶ丘との、20世紀初めの頃の日常をダブらせ進行していきながら、ワイルダーの人生観が語られる劇だった。
舞台:幕なし、舞台には4家庭を表す4台座のみ。先ず後方でアメリカの2家庭の日常が、次に前方で日本の2家庭の日常が演じられる。合間に男女の進行役の語りが入る。
第1幕(日常生活)
1901年グローヴァーズ・コーナーズの夜明け。お産の仕事を終えた医者や数年後に戦死する新聞配達の少年などが登場。2軒の家では主婦が2人の子供を起こし、いつものような朝が始まり、たわいない日常があり、満月の夜で終わる。
昭和4年(1929年)新百合ケ丘の2家族も同じような、ちょっとレトロな日常。
二つの田舎町は車が少なく、家のカギも必要ない、のんびりした時代である。
第2幕(3年後 恋愛と結婚)
グローヴァーズ・コーナーズ、新百合ヶ丘ともに2軒の家同士の結婚式が行われる。
美しい花嫁の名前はエミリーと恵美子。
エミリーの恋が再現される。日本の恵美子は恋愛結婚でなく、花嫁の父は花婿に「封建的であれと父親から言われたが、自分はその言いつけに逆らって幸せに暮らしている」と説く。
「
結婚式には、見えないけれど先祖の方たちが出席しているのです」と進行役。
第3幕(9年後 死 ☆9年の間に戦争(米国)や2.26事件(日本)があった)
エミリーと恵美子はお産で亡くなり、墓に入る。
エミリーは一番幸せだった12歳の誕生日(1899年)に戻ってみる。あの日のままの朝の時間、人々は現世の時間を忙しなく生きている・・・エミリーは自分は死者の世界にいることを自覚する。
観客の感想:シニア男性「この地域で育った。昔を思い出した訳でなく、ただ泣けたね」 シニア女性は「地元の歴史が分ります。地球上どこであっても平和な日常が大事ですね」 若いカップルは「先祖があって今があると思いました。死後のことも考えました」 20年前の麻生市民館館長さん「よい企画をどんどんやって種をまいた。今日の劇は構成が素晴らしかった」などなど。
☆ 「
劇団わが町」は2012年に新百合ケ丘で生まれた劇団で団員50余名は地域の
老若男女。川崎市アートセンターを中心に活躍している。
☆ 「
わが町しんゆり」は2015年1月11日(日)多摩市民館で再演される。