開演前に、ほとんど満席
ユーモアを交えながら、片付け術を披露する石見講師
せめて身の回り品を半分に減らすように
講師は、あんしんネットの整理コーディネーター 石見良教さん。遺品整理のプロから、現場で培った片付け術のヒントに、参加者はうなづき、苦笑いしながら、熱心にメモを取っていた。
テーマの断・捨・離とは、断→入ってくる要らない物を断つ。捨→家にずっとある要らない物を捨てる。離→物への執着から離れるという考え方である。
最近、ゴミ屋敷のニュースをよく耳にする。身体機能が低下してゴミ出しや身の回りの整理ができなくなった一人暮らしの高齢者や認知症患者の増加も一因といわれる。2012年、厚生労働省は認知症患者数が300万人を越えたと発表したが、65歳以上の10人に1人が、認知症を患っている計算になるという。6~7年前から、自治体や病院等から高齢者の自宅整理の依頼が増え始め(福祉整理)、あんしんネットでも福祉整理が受注の6割を占める。
なぜ部屋が片付かないのか?
捨→捨てるではなく 好きな物だけ選ぶこと
まず現状把握。配布資料の「封印している物」によると、 捨てられない第1位は写真やアルバム。お気に入りの写真を一枚だけ選び、他は整理する。遺族から、写真は魂が宿っているようで捨てられないとの相談が一番多いそうだ。「心置きなく捨てて」との貼り紙は遺族へのうれしい配慮だ。
離→ 執着心から離れること
サイズが合わなくなった服も、もったいないと保管する。「もったいない」は美徳だが、度が過ぎた「もったいない」はNG! 解き放せば心も軽くなる。
断→もう余分なものは持ち込まないこと
現場では、割り箸、化粧品のサンプル、ホテルのアメニティー等が、どっさり出てくる。今日から覚えて欲しい言葉は「要りません」との講師の話に、身に覚えがあるのか、一斉に笑い出した。
今すぐできる自宅の整理
冷蔵庫とトイレは、毎日何度もドアを開ける場所。冷蔵庫の賞味期限切れ食品を廃棄し、トイレは便器とその周辺は丁寧に掃除すること。毎日の片付けが習慣化すれば、すべての部屋にそれが波及し、綺麗になっていくという。
80歳代の女性は、平均で約3トンの荷物を所有するが、亡くなるまでにせめて1.5トンまで身の回り品を減らすこと。参考として生協の配送車は2トンである。快適な生活をするために、元気なうちから自分の為の生前整理を勧めていた。
開演10分前、ほぼ満席に近い会場は、シニア層の女性が大半を占めた。当講座は定員50名に対して、120名を超える応募があり、担当者もシニア層の関心の高さに驚いたそうだ。
感想
テレビの鑑定団で、ゴミとして廃棄された物に、驚く鑑定額が付くことがある。「私にとっては宝でも、遺族にとってはただのゴミ」と以前聞いた事があり、生前整理の必要性を再認識した。
吉川 眞沙美