今年も盛況!お大師さまの風鈴市
今年も、7月17日から21日の日程で、恒例の川崎大師風鈴市が開催された。もうこの開催で20回を数えるとのことである。
朝10時を少し過ぎた川崎大師駅では大勢の見物客と思われる人々が改札を後にした。川崎大師の入口付近はまだ人はまばらだったが、境内に入り風鈴市の会場に目をやると、かなりの盛況だ。
川崎大師の担当の方にお聞きしたところ、風鈴市5日間で30万人の人出が予想されるとのこと。この日も開場前から長い行列が伸びていたとのお話だった。
境内にしつらえられた風鈴の売り場では人盛りで絶えずごったがえしていた。展示・販売されるのは全国47都道府県から集まった900種類30,000個の風鈴。色とりどりで、形もさまざま。風がほとんどなかったのでお店の人がうちわで扇いで、涼しげな音色を響かせていた。
川崎大師では、そのイメージキャラクターとでもいえる「だるま」をモチーフにした「厄除だるま風鈴」を制作している。色とりどりのだるま風鈴がお店の軒先に吊るされている。多くの見物客は売り場の前で足を止めていた。一目見て、固く口をへの字に結んではいるが、どうしても一種ひょうきんさが良い。
風鈴の起源は中国の「風鐸」であり、小さい鐘のようであるため、風に揺られ鳴る音は魔除けとして使われていた。これが仏教と共に日本に伝えられ、平安貴族達が家の軒先に吊ったのが風鈴の始まりと言われている。日本人にとって風鈴は、暑い夏にさわやかな涼しさを演出してくれる風が奏でる楽器とでもいえようか。
ようこそ遠くから!「諏訪風鈴」
会場を見学していて青や茶色をベースにした柄の風鈴が目を引いた。聞けば長野県諏訪市から出品された「諏訪風鈴」とのこと。見るほどにくっきりとした装飾が艶やかである。この製作者である長野県諏訪市在住のガラス工芸家である三浦世津子さんに「諏訪風鈴」の制作方法について聞いた。
「風鈴の音色の良さという面では、個人的には南部鉄を利用した「南部風鈴」が一番と思っています。音ではかなわないのですが、風鈴のガラス部分を高くしたり、薄くしたり、さらには舌(短冊)につながる紐の部分の長さを変えて工夫します。出来上がったものを鳴らしてみると作り方で音が変化することがわかります。最終的に一番良い音に仕上げます」
最後に「良い音が出ると作ることが楽しくなります」と語ってくれた。
三浦さんは、新たなタイプの風鈴の制作にも取り組み、作品は河口湖ミューズ館で展示されている。
海外の風鈴はインテリアのよう
幻想的な「諏訪風鈴」
梅雨明けを翌日に控え、夏をしっかり感じとることができる風鈴市であった。全国各地の町が出品した風鈴は、思い思いの音を奏でていた。郷里から離れてこの地に住む人達にとって、遠く思いを馳せるひとときになったに違いない。