現在、川崎市にはクラフトビールの醸造所が3カ所ある。「ムーンライト」は市内で最初に免許を取得し、2009年多摩区登戸に醸造所を設立した。地井悦子店長にクラフトビールについて話を聞いた。
クラフトビールとは
1994年に酒税法が改正、年間最低製造量が大幅に緩和された。これに伴い全国に地ビールブームが起きた。品質の問題などでブームは沈静化したが、技術が向上し、こだわりの味、健康志向などでクラフトビールとして再びブームが起きた。小規模な醸造所で、職人が丹精を込め手工芸品(craft)のように造り、地域に根差しているのが、地ビールとも呼ばれるクラフト(手造り)ビールだ。
クラフトビールの造り方
麦芽を煮た麦汁に、香りと苦味を与えるためホップを入れる。さらに粉末状のビール酵母を加え発酵させる。これをタンク内で熟成させると40日間強で出来上がる。年間50種類ほど造り、それぞれに、公募した地元にちなんだ名前(多摩の泉、枡形城、津久井道など)を付けている。
年に数回、店長の地井さんが講師を務める「ビール造り教室」が開催される。詳細は後述のホームページで案内される。
クラフトビールと市販ビールの違い
「ビール酵母が活きている」かどうかが一番大きな違いだ。 市販のビールの多くは「熱処理」または「低温殺菌」により酵母は殺菌されるか、濾過により除去される。これはビールの味を安定させ、長時間輸送にも耐えるために必要なことだ。
「活きている酵母」も一緒に味わえるのがクラフトビールの醍醐味だ。
また、市販ビールの多くには人工的に炭酸を入れてあるが、クラフトビールは自然発酵で生じた優しい炭酸だけが含まれ、食事しながら味わうのに最適とのこと。
クラフトビールは健康飲料
ビール酵母には、タンパク質、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸など栄養分が豊富に含まれている。期待される効果は疲労回復、免疫力向上、老化防止を始め、高血圧症、胃腸疾患、肝臓病、糖尿病などの改善など幅広い。
クラフトビールは「活きているビール酵母」がたくさん含まれている健康飲料だ。
ムーンライト
欧米の伝統的な手づくり製法を受け継いだ小さなビール醸造所だ。併設されているバーでは、本格的クラフトビールを味わえる。
“皆様に「旨いビール」を「適正価格」でご提供することです”をモットーにしている。
ムーンライト http://www.craftbeer-moonlight.jp/
手造り感のあるムーンライト入口
うさぎのエサとそっくりなホップ
地元、川崎市にビール醸造所があり、本格的なクラフトビールを味わえることを初めて知った。機会があれば、ビール造り教室も取材してみたい。
取材後、おすすめの「多摩の流れ」を味わった。まろやかでコクがあり本当に旨い。つい写真を撮るのを忘れてしまった。