- チロリアンハウス
- 貸しボート屋のんきや
登戸と
宿河原。おしゃれな都心の街とはほど遠い。だけど人をほっとさせる不思議な魅力がある。これを全国に発信しようと
写真家の谷口雅彦さん達アート集団は「
登戸宿河原完全写真化計画」を2015年2月にスタートさせた。ドラマ(Youtube channel527で配信中)を作り、12月18~23日多摩市民ギャラリーで写真展を、20日は町内ツアーを行った。
消えゆくもの&この町の持つ不思議な魅力の写真群
現在、登戸地区は大規模な区画整理中。それゆえ消えゆく物も多い。旧津久井道で、江戸時代から商売を続けてきた池田屋さん、肉屋の伊勢屋さんなど、長く親しまれてきた店が次々に消えている。
たまたま市民館ホールの音楽会に来た池田屋の奥さんは写真を見てすっかり興奮。あの写真、この写真と、谷口さんを連れ歩き、話が止まらない。
この計画の原点である
チロリアンハウス(98年に谷口さんがその一室にアトリエを構えた)は老朽化のため、メルヘンチックな佇まいを惜しまれながら来年1月に解体される。
「失われる前に写真を残す」という谷口さんの思いを込めたこの地の懐かしい写真群。
新宿や横浜など近隣の街にもチラシを配ったので、市外の人達もたくさん来て、写真展は賑わった。
他市に引っ越し、時々登戸に来ると言う婦人は「来るたびに変っていきますね。向ヶ丘遊園があった頃は華やぎがあったのに」とモノレール電車の写真の前で感慨深げであった。
町内ツアー(スタッフ4人+参加者4人)
ドラマのロケ地や、谷口さん達のいうスキマ空間(非機能的空間)を案内してもらった。
江戸時代より用水路を張り巡らしていた農地が急激に宅地化されたこの地には、水路や農道の痕跡が多く残る。水路はコンクリートの蓋をされ歩道となったり、家々の間に細く切れて放置されたり。そんなネコ道を辿って行くとちゃんと通りに繋がっていたりする。
更地が増えた旧津久井道では取り壊し寸前の雀荘
聖の女将さんが甲高い声で追いかけてきて、われわれはその悲しみをしばし共有した。純喫茶
十字路はまだまだ健在。多摩川河川敷の貸しボート屋
のんきやは後継者がいないので今代限り?宿河原の手書きの
二ヶ領用水古地図案内板(ぜひ残してほしいとスタッフ土屋コ―ジンさん)。
日本一?短く低い鉄橋。時に俳優さんを見かける
多摩川つり鮒センター。道路から眺められる
宿河原小学校の
水族館。肝心な主語や場所が消えている不思議な注意書き。「放火されない町作り」?と首をかしげたくなるような立て看板。
S字カーブの小道では、曲線が悩ましいと「柏原芳恵いや河合奈保子だ」とはしゃいで腰を振ったり、笑いの絶えないボヘミアン集団の気楽なツアーだった
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