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「久地円筒分水」 水事情 江戸から平成へ

取材日 2016年05月15日(日)

円筒分水・桜の季節(提供:企画課髙橋さん)
円筒分水・桜の季節(提供:企画課髙橋さん)
合流地点・二ヶ領本川に造られたダム
合流地点・二ヶ領本川に造られたダム

 久地円筒分水サポートクラブによる初めての体験イベントだった。
 美化活動に先立って、ボランティアガイドによる施設の歴史や構造についての解説を聴いた。

 「二ヶ領用水(にかりょうようすい)久地円筒分水」は高津区久地地域にある。
 平成10年、川崎市で初めて国の登録有形文化財に指定された建造物である。


「久地分量樋(くじぶんりょうひ)」が前身

 昔の多摩川は、洪水を繰り返しては田畑を押し流す荒々しい川だった。
 江戸時代、德川家康は多摩川の両岸にあたる江戸側と川崎側に、水不足解消と治水目的の水路を造るよう命じた。10数年を費やし川崎側には二ヶ領用水が完成した。
 二ヶ領用水は、多摩川から上河原堰と宿河原堰の2ヶ所で取水され、高津区久地で合流。
 「久地分量樋(くじぶんりょうひ)」に導かれ、四つの堀(久地堀・六ヶ村堀・川崎堀・根方堀)に分水して利用されたが、なかなか正確な分水ができず、水争いはその後も絶えなかったという。


二ヶ領用水久地円筒分水

 昭和16年、多摩川右岸農業水利改良事務所長であった平賀栄治が、暴れ川と称された平瀬川の改修に際して、二ヶ領本川と合流させ多摩川へ放流する流れをつくった。
 二ヶ領本川の水の一部を2本のコンクリート管で平瀬川の下をくぐらせ、再び円筒から吹き上がってきた水を分水した。
 円筒の円周比により、四つの堀(久地堀・六ヶ村堀・川崎堀・根方堀)に分けて用水を提供できるようになった。当時としては最も理想的かつ正確な自然分水の一つだったと言われている。


区民の憩いの空間

 地域の都市化により、二ヶ領用水の用途は農業用水から環境用水へと移った。
 現在、周辺広場はさらに整備され、区民の憩いの空間として生まれ変わった。
 毎年3月末には、地元住民主導のイベント「円筒分水スプリングフェスタ」が開催されている。

  周辺広場を地域コミュニティの場としてさらに活用するために、久地円筒分水サポートクラブが活動している。区と協働で、広場の美化清掃活動や利用のルールづくりなどに取り組んでいる。
 今回の体験イベント開催は、初めての試みだったという。

久地円筒分水へのアクセス:http://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000018473.html(川崎市ホームページ)

メンバー募集中

 ■活動日:毎月第4月曜日 10:00~(1時間程度) *雨天延期
 ※6月~9月は毎月第2水曜日も実施  7月~9月は8:30~(1時間程度)実施

 <問合せ>:高津区役所 企画課
     電話:861-3135 FAX:861-3103 メール:67kikaku@city.kawasaki.jp

円筒分水の構造や歴史に関する解説を聴く参加者

円筒分水の構造や歴史に関する解説を聴く参加者

外周水路の清掃(提供:企画課髙橋さん)

外周水路の清掃(提供:企画課髙橋さん)

美化活動終了後の充実した笑顔(提供:企画課髙橋さん)

美化活動終了後の充実した笑顔(提供:企画課髙橋さん)

高津区 久地円筒分水
斉藤 多喜子
シニアリポーターの感想

 今回の「久地円筒分水美化活動体験」には、4歳から89歳という幅広い年齢層の人たちが集まり、五月晴れのもと心地よい汗を流しました。
 地域企業の社会貢献という形の参加もあり、ボランティア活動への関心の高さを実感しました。
 農業用水の確保や治水に関する先人の知恵に感心するとともに、感謝の思いを強くした取材でした。

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