がんに対する疑問と不安
川崎市立井田病院では、がんを経験した方とその家族が集まって、がんに罹患した体験を語り合う「がんサロン」が毎月2回第2第4木曜日に開催されている。そこでは、自らのがんに対して知りたいことや不安に感じていることなどが話し合われる。参加者は、がんを経験した方とその家族および医師、がん専門看護師、がん相談員等である。当病院で治療を受けている患者だけでなく他病院の患者も参加することができる。自らのがんに対しては、治療段階で医師から種々の説明を受けるが、治療や入院生活で同じような体験をした人の疑問や不安に思うことなども聞いてみたいと思ったときにはいつでも参加できる。
がんに関することなんでも話せます
当サロンでは参加者が丸テーブルを囲んで座り、まずは自己紹介から始まり、自分の体験、知りたいことや毎日の生活の中で不安に思っていることなど参加者が自由に語る。この日は、「抗がん剤治療を受けているが、味覚障害が現れたがどうすればよいか」「夫ががんになり、続いて自分もがんになったが、子供がまだ教育過程でどうすればよいかと思った」「医師から治療方法の説明を受けたがよく理解できないところがある」などの話が出た。これらに対して他の参加者から自分の体験を通して考えたことや実践したことなど、アドバイスを含んだ話があった。それらを受けて西智弘医師および武見綾子がん看護専門看護師からの説明へと続いた。
がん看護専門看護師
当病院には「がん看護専門看護師」が配置されている。「がん看護専門看護師」はがん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。武見さんは当病院の患者の相談に乗るだけではなく、他の病院で治療を受けている方からの相談も受けている。自らの専門分野からの対応だけでなく、他分野の専門担当者との連携も適宜行う。この場合、医師を紹介することもあるし、治療の経済面など生活の相談についてはケースワーカーを、薬の詳しい説明は薬剤師を紹介し対応している。
がんサロンについての質問は
井田病院 がん相談支援センターまで TEL 044-751-8280
(ホームページ)
http://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/about/kouza.html
自由に読めるがんに関する書籍
がんサロンの会場からは横浜中心部を一望できる
病院の近くにある公園から元住吉方面
がんについての疑問や不安を同じような体験をしている人に聞いてもらえアドバイスも得ることができる。地域の病院でこのような機会をもつことができるということは、病気で気持ちが行き詰った時には大きな救いになると感じました。特に井田病院は、川崎市に3か所ある地域がん診療連携拠点病院の一角を占め、川崎市におけるがんの診断、治療、アフターケアにおける水準は高く、ここを訪れる患者さんは安心して診療を受けることができるものと思います。