
- 900人前を作る、炊事班

- 煙体験 脱出成功
区民の防災意識の高揚を図り、各町内会や自治会と防災関連機関・団体等が互いに連携・協力をして防災体制の強化を図ることを目的に、年に一度行われる市内でも卓越した規模の防災訓練が高津区で行われた。高津区自主防災連絡協議会の主催に約700人の区民と協力団体200名余りが、会場の川崎市立高津小学校に集結した。
同区も3.11には想定外の影響を受けた。電車の不通・交通渋滞・停電などに加え、帰宅困難者の受け入れや防災連絡網も繋がらない等々のリスクがあった。これらを踏まえ、例年より一層実践的な訓練内容になった。
朝8時に要援護者確認から訓練は始まり、情報伝達・避難誘導を想定し、各団体の集合場所から会場入りをした。そしてこの訓練を通し近隣の人々・世話役などを知っておくことも重要だ。
会場には、給水所・消火用貯水プール・煙体験ハウス・給食施設などが設営されており、パトカー・消防車などの緊急用車両やリヤカーなどがあった。巨大な双腕作業車の繊細で静かなアーム操作の様子は見る人を感嘆させていた。
個人に対しての訓練や指導は自由参加でいくつでも体験できる。すぐほどけるが、力を加えると決してゆるまないロープワーク、一般的な消火器を使用した初期消火。消火剤は15秒程しか噴射しないので、落ち着いて火元確認をしてからレバーを強く握る。レジ袋・新聞紙・ダンボールなど身近なもので、給水袋・スリッパ・トイレなどの作り方、赤十字奉仕団による蘇生法や三角巾の利用法など、会場は知恵の集合体だ。
炊き出し訓練班は恒例の「豚汁」をやめ、よりリアル感のあるシンプルな「味噌汁」に、ご飯は特殊なビニール袋に一人分の米と水を入れ、輪ゴムで止めて熱湯に投入し炊き上げる。袋ごと手渡せば、しゃもじも食器もいらない。ほかにもまだまだ訓練はあるが、一時間半の時間帯のなかでほとんどが体験できた。
閉会式の区長の言葉。「3.11の日、都内からの帰宅者で大山街道が人で溢れかえった。すぐに近隣の公的施設を開放したが、もし同時に地元民が被災していたら・・・」、この体験から現在災害対策の見直しをしていると話した。今回の訓練は親睦会的な側面は一転し、区民の誰もが真剣だった。
■参加団体55 関係機関20 給食900食 会場は区内の小学校持ち回り
■訓練の参加は所属の町内会・自治会へ。訓練関係の問合せは区役所の地域振興課へ。