
- つぎつぎと飛び出す虹色のシャボン玉

- 実演中の時計技能士・飯嶋義弘さん
シャボン玉が宙を舞い、おいしそうなパフェが見える。
5月12日、川崎市が認定したものづくりの匠(たくみ)が一堂に会する「かわさきマイスターまつり」が川崎市高津区のJR武蔵溝ノ口駅南北自由通路で開かれた。ものづくりの素晴らしさを体感してもらおうと川崎市が主催。初めての開催となった。会場が改札前という立地から多くの乗降客が足を止めた。
当市では現在67人のマイスターがいる。今回は20名が参加し、各ブースにて、自慢の腕で観客を魅了した。特設ステージでは6人の匠が秀逸な技能を披露した。
内海正次さんは座布団の製作実演を行った。座布団側(がわ)の面積の4倍ほどの広さに広げた綿を何層にも重ね、見事な手さばきで側に入れた。縫い合わせ、糸を対角線に渡して中央に房をつける。早い。「真ん中の房で持ち上げたとき、水平になるのがよい座布団」と選び方を教えてくれた。
飯嶋義弘さんは旧国鉄で使用されていた機械式懐中時計の分解組立を実演した。飯島さんは全国の時計職人が教えを乞うほどの匠。息をのむほどの鮮やかな手さばきだ。埼玉から飯島さんを訪れた初老のご夫妻もいた。
田中司好さんは食品サンプル制作の匠。親子連れも一緒になってステージを盛り上げた。浅水屋甫さんは会場のリクエストに応え、揮毫を披露した。書き順を問わない豪快さが清々しい。
ブースでは匠の技が光っていた。
自動シャボン玉発生機を製作したのは伊藤直義さん(機械設計・製作)。無数のシャボン玉が飛び出す。大橋明夫さん(プレス順送金型設計)はプレス絞り加工の製造過程と製品を展示。平たい金属の板が幾度かのプレスを経て立体成型されていく工程を目にして、日本の工業の躍進に感慨を深くし、見飽きない。美容師の三上峰緒さんは水引や組みひもの「結び」を取り入れた作品を展示。文化交流活動で中国全土を旅し、出版も果たした80代の女性だ。ヘアスタイルは、向かって左を下げ、右を上げると「福を呼ぶ」のだとか。鍵屋清作さん(金属ヘラ絞り)はヘラ絞り加工のビアマグと1輪挿し2輪挿しの花器を展示販売。丸く成形された花器はシンプルで粋。目を奪われた。
午後になって川崎市長が応援に駆けつけ、ご当地アイドル「川崎純情小町」のメンバーも参加し、製品のPRやステージの司会進行に一役買っていた。
技も見事だが、匠たちの生き生きとした笑顔が印象的だった。川崎のモノづくりを支えている、その自信に満ちていた。