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介護の「移乗」福祉機器・用具活用による腰痛対策

取材日 2014年04月17日(木)

車いす各種
車いす各種
スライディングボードで移乗
スライディングボードで移乗
 家庭でも施設でも介護者の腰痛は大きな問題だ。厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」を策定して事業所への周知を図っている。川崎市委託事業「楽コーディネーショングループ」が第4回「楽街」(福祉啓発イベント)で腰痛予防をテーマとした講座を開いた。定員は30人、福祉・介護・行政・ものづくり企業・一般市民等、様々な立場の人達が集まった。
 講師は中澤栄理さん。社会福祉法人慈生会特別養護老人ホーム「ベタニアホーム」のケアワーカー主任。最前線からの介護の内容は具体性に富み、創意・工夫のヒントが多々あった。
手すりの設置 つかまって自分の身体を引き上げるにはタテの手すり、立ちあがった身体を支えるにはヨコの手すりが役立つ。身体状況によっては、壁との間にスペースが無いと使いにくい。ベタニアホームでは介護職員が主導して業者と打ち合わせを重ね、浴室の手すりを設置したという。使用する人の立場に立った創意・工夫が成果を生む。
車いすの選定 要介護者のレベルは様々。支障のある部位・程度により、あるいは車いすでの過ごし方を考慮して選ぶ事が大事だと言う。また利用者の状態によっては座面下部に1枚の板を入れ、座位姿勢の安定を図るなどのちょっとした工夫も大切だとのこと。
移乗のための用具 要介護者の安心・安定を確保しつつ、介護者の負担を減らす用具としてリフト・スライディングボードやフレックスボードがある。自立が困難な人の、ベッドと車いす間の移乗時等に使用する。座面に挟み込み、滑らせ移動させるのがスライディングボードだ。価格は2から3万円程度で大きさも各種ある。使用には慣れと技術を要するが、シンプルでも腰の負担軽減に威力を発揮する用具である。また寝た姿勢のままの要介護者を移すために使うのがフレックスボードだ。硬めの平らな芯をサラサラの布でカバーしたもので、身体の下に敷き、移動に連動してカバーがずれ、車いすとの移乗をスムーズにしてくれる。巧みな移乗実演に参加者から感嘆の声が上がった。価格は46,224円(税込)技術を覚えれば介護人の負担を軽減、同時に要介護者の床ずれ予防や自立支援も促す。いずれも介護保険の適用の場合、レンタル料1割負担となる。リフトの実演もあり、施設でも家庭でも普及が望まれる用具の数々だった。
問合せ先 楽コーディネーショングループ 044-589-7708
用具提供 アビリティーズ・ケアネット(株)川崎営業所044-329-1565
           (株)ヤマシタコーポレーション川崎営業所044-777-5995
フレックスボード

フレックスボード

移乗体験

移乗体験

リフト実演

リフト実演

東海道かわさき宿交流館
佐藤政孝
シニアリポーターの感想

用具を使って、大柄な体験者を車いすに移乗させる。慣れもあるのだろうが、あまりのスムーズさに驚き、感心する。初めて見る介護用具だが、一般家庭でも普通に使われるべきだろう。講習会等で技術の習得を図っても良いのではないだろうか。

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